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<諫早干拓>法廷闘争大詰め 開門請求異議訴訟、13日に最高裁判決

9/12(木) 15:00配信

佐賀新聞

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡る一連の訴訟は、開門を命じた確定判決に従わない国が、漁業者に開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の最高裁上告審判決で大きな節目を迎える。一連の法廷闘争の流れを決定づけることになる国勝訴か、それとも二審判決を破棄し福岡高裁に審理差し戻しか。注目の判決は13日に言い渡される。

 ▽ねじれた判断

 訴訟を巡っては2010年12月、開門を命じた二審福岡高裁判決を民主党政権時の国が受け入れ、確定した。開門に反発する干拓地の営農者らが差し止めを求めて提訴し、長崎地裁は13年11月に差し止めを認める仮処分を決定し、司法判断のねじれが生じた。国は開門しても、開門しなくても間接強制金(制裁金)の支払いが命じられるなど板挟みとなり、開門義務に従わない状況が続いた。

 国は制裁金の支払いを免れるための請求異議の訴えを14年1月に起こしたが、佐賀地裁は同年12月に請求を棄却した。国側は控訴し、福岡高裁の控訴審で新たに漁業権に関する主張を加えた。漁業者が開門を求める前提の漁業権が10年の期限を満了して消滅し、それに基づく開門請求権も消滅したことを請求異議の理由として示した。

 並行していた長崎地裁の開門差し止め訴訟では和解協議が行われ、国が開門しない前提で100億円規模の漁業振興の基金を創設する案を提示した。漁業者側は受け入れずに和解協議は打ち切られ、長崎地裁は17年4月に開門差し止めを認める判決を言い渡した。自公政権下で国は基金案で問題解決を図る方針を明確にし、地裁判決を受け入れて控訴しなかった。

 請求異議訴訟は控訴審が結審した後に和解協議へ移行し、福岡高裁は国の主張に沿って開門せずに基金案による和解を勧告した。漁業者が協議に加わらなかったため決裂し、昨年7月の判決では漁業権消滅を理由とする請求異議を認めて国側が逆転勝訴した。約4年間で12億円余りに上っていた国の制裁金も支払いの停止を命じた。漁業者側は判決を不服として上告した。

 ▽和解協議も

 最高裁は、開門を命じた確定判決の効力だけを争点に示し、国と漁業者に意見を聞く弁論を開いた。漁業者側は二審の高裁判決の法令解釈に誤りがあることを主張していた。弁論は二審の結論を見直す場合に必要な手続きとなっている。

 今回の上告審判決で漁業者側の上告を棄却して国が勝訴した場合、開門命令の確定判決を事実上無効化した高裁判決の判断が維持される。確定判決はそのまま残るが、漁業者側は国に開門を法的に強制することができなくなる。

 一方、最高裁が二審判決を破棄して審理を福岡高裁に差し戻す結論を出すと、漁業権関係を除いた争点で審理が行われる見通しも出てくる。強制執行が権利濫用に該当することなども国は訴訟の中で主張していて、二審判決は他の争点に対する判断を示していなかった。高裁での訴訟の展開によっては、再び和解協議に入る可能性もある。

■国営諫早湾干拓事業 国は1986年、有明海の諫早湾で農地確保と低地の高潮対策を目的として事業に着手。97年に湾内を全長約7キロの潮受け堤防で閉め切った。堤防の内側に約670ヘクタールの農地と、農業用水を供給する調整池約2600ヘクタールを整備。排水門は堤防の北側と南側に設置され、2008年に営農が始まった。総事業費は約2530億円。漁業者は潮流の変化などによる漁業被害が生じたとして開門を要求。国などは漁場改善事業を02年度から始め、17年3月末までに約520億円を拠出した。

最終更新:9/12(木) 15:00
佐賀新聞

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