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運用報酬の引下げとコスト増大で世界の運用会社再編が加速、独自の輝きを放つインベスコの戦略

9/13(金) 14:00配信

モーニングスター

 米インベスコは、今年5月に米国で50年の歴史があるアクティブファンドマネジャーのオッペンハイマーファンズを買収し、トータルでの運用資産額が1兆1978億米ドル(約129兆円)になった。インベスコ・アセット・マネジメントは9月12日、資産運用業界動向をテーマに報道関係者向けセミナーを開催し、代表取締役社長兼CEOの佐藤秀樹氏(写真)は、「世界的に続く運用報酬率の引下げと運用コストの増大によって、運用資産額が1兆ドルに届かない運用会社は淘汰されかねない。運用業界は業界再編が続く厳しい経営の時代を迎えている」と世界の運用業界の現状を解説した。
 
 運用会社の運用資産額は継続して年5%以上の速度で増大する見込みである成長市場でありながら、各社の経営が厳しさを増しているのは、全地域、全アセットクラスで続く運用報酬率の低下がある。過去5年間でみて、地域別にはアジアでの運用報酬率の低下が顕著でアクティブファンドは年平均8%のマイナス成長、パッシブも同3.9%のマイナス成長になった。アメリカでもアクティブファンドは年率2.2%のマイナス成長、パッシブは同6.3%のマイナス成長になっている。
 
 また、アセットクラス別にみると、株式ファンドのパッシブは年率6.5%マイナス成長、マルチアセット・パッシブも同6・1%マイナス、債券もパッシブは同3.8%マイナス成長とパッシブ運用の報酬率低下が顕著だ。アクティブ運用も株式は年率2.1%マイナス成長、債券は同2.0%マイナス成長になっている。
 
 一方、人件費の上昇を始め、世界的に顧客本位の業務運営の強化が求められ、運用コストは拡大の一途をたどっている。
 
 佐藤氏は、「世界的に運用報酬率の低下が顕著で、かつ、投資家や規制当局による運用報酬の一段の引下げ圧力が強い。一方で、運用コストの増大は続き、運用会社の経営はかつてなく厳しい状況になっている。さらに、資産規模が大きなトップ10運用会社への資金流入が集中する傾向もあり、世界の運用会社はM&A(企業の合併・買収)によって一段の規模拡大を図るモチベーションが強い。2018年に運用会社のM&A件数は230件と2008年以来最大となったが、依然として業界再編の動きは止まりそうにない」と業界の行方を見通した。
 
 そのような中にあって、米インベスコは、オッペンハイマーファンズの買収によって、運用資産規模の拡大とともに、世界最大の新興国株式ファンドをラインナップに加えた。また、バンク・ローンやMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)などについては、従前からの戦略と合わせて業界リーダーとしての地位の強化を実現した。
 
 さらに、資産運用アドバイザー向けテクノロジー・プラットホームを提供するJemstep(ジェムステップ)や英国IFAのデジタル・ソリューション企業であるIntelliflo社を買収するなど、デジタル・ソリューションビジネスの取り込みにも注力している。
 
 Jemstepが提供するデジタル・プラットホームは、米国の5大銀行を含むトップ20の銀行や200以上の信用組合で利用され、ゴールベース・アプローチに基づいたポートフォリオ構築のアドバイスやリスク許容度の診断、アカウント・アグリケーションを使った口座情報の集約などのサービスを提供している。
 
 佐藤氏は、「インベスコは、運用商品の提供のみならず、さまざまな革新的な取り組みを通じて、投資家およびアドバイザーの支援を行う総合的な運用サービス会社としての力をつけている」と同社グループの現状を紹介した。
 
 そして、日本でも提供しているインベスコ・グローバル・ソリューションズのアドバイザー向け各種分析ツール(分散効果の分析・検証、ファクター分析、リスク要因分析、市場シナリオ分析等)、また、インベスコ・コンサルティングによる販売会社の営業担当者やIFA向けのコミュニケーションに特化した研修プログラムなどの運用関連サービスを一段と強化して日本国内での存在感を高めたいとした。
 
 佐藤氏は、「世界の運用会社がM&Aによって集約されていく一方で、利用者は利用する運用会社・運用サービス会社の数を減らしていくという動きが続いている。良い運用商品があるというだけでは十分とはいえない。運用に関する質の高い関連サービスを同時に提供することが、これからの生き残りのカギになる」と、日本市場においてもインベスコグループの最新の運用サービスを積極的に提供していきたいと語っていた。
提供:モーニングスター社

徳永 浩

最終更新:9/13(金) 14:00
モーニングスター

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