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「来なくていい」と言われても不安? 台風があぶり出す“会社員という病”

9/13(金) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

「会社に行くこと」が存在価値だと思ってしまう

 いったいなぜ、彼らは「不要不急」という言葉に震撼(しんかん)したのか?

 「忙しい人=仕事ができる人、ヒマな人=仕事ができない人」という価値観が骨の髄まで刷り込まれている会社員にとって、「不要不急の仕事しかない人=存在価値のない人」。

 「這ってでも来い!」と言われれば「休ませろ!」と訴えるのに、「休みなさい」と言われると「はい、休みます」とは素直に思えない。「忙しい~」と悲鳴を上げている時には「ヒマになりたい」と願っていたのに、「ヒマになった」途端、不安になる。

 なんだかむちゃくちゃではありますが、自分の価値、自分の存在意義を欲する人間にとって、「会社に行く」という行為自体が、ときに自分の存在価値の証になる。まさに「会社員という病」です。

 会社員でいることが目的になってしまうと、仕事をするのではなく、“会社員する”ようになってしまうのです。

 実は件の男性は、「自分の仕事には不要不急なものしかない」という事実を認めたくなくて、出社したそうです。すると、なんと驚くことに、結構な人たちが来ていて「取りあえず来た」と、互いに笑いあったと教えてくれました。

 ……これってめちゃくちゃ日本人っぽい。海外ではめったに見られない光景であることは間違いありません。

 そもそも不要不急じゃない仕事とは何なのでしょうか?

世の中は「不要不急の仕事」だらけ

 言葉通り捉えれば「今、すぐにやらなくてはならない、重要な仕事」、すなわち、衣食住に直結する「今それがないと生きていけない」仕事になります。

 では、いったいどれほどそんな仕事が世の中にあるのでしょうか? いったいどれだけの人が、そんな仕事に就いているのでしょうか?

 例えば、自分のこれまでの経歴で考えると……、客室乗務員(CA)の仕事は政府の要請などによる緊急時のフライトでない限り不要不急です。お天気キャスターの仕事は、それこそ台風でも来ない限り、不要不急。講演会も、講義も、書籍の執筆も、はたまたこのコラムも、不要不急以外の何物でもない。

 いずれの仕事も「その時間に、自分が、その場所に行かなくていけない仕事、時間通りに終わらせなくてはいけない仕事」ではありますが、それが「不要不急か」と聞かれれば、答えはノー。

 ただ、だからといって全く必要のないものではなく、今すぐに必要でなくとも後々に必要なものだったり、急ぎではないけどとても大切なことだったり。不要不急な仕事とは、それがなくとも最悪生きていくことだけはできる、というレベルだと思うのです。

 言い換えれば、世の中、救急救命医など人の命に関わる仕事以外は、不要不急の仕事だらけで。「僕の仕事は不要不急なのか」などと落ち込むことも、「僕は存在価値がないのか」などと心配しなくてもいい。社会には不要不急の仕事に関わっている人があふれていて、忙しそうに動き回っている人の仕事だって、不要不急の仕事の山なのかもしれないのです。

 ただし、それが仕事として存在する以上、社会に必要な仕事。そして、その仕事が必要とされ続けるには、自分が仕事に価値を与える働き方を、自分が必要とされる働き方をすることが大切になります。

 「会社員する」のではなく、「仕事する」人になる。その意識を持てるかどうかが肝心なのです。

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最終更新:9/13(金) 8:00
ITmedia ビジネスオンライン

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