ここから本文です

なぜ今、パリで日本の「おにぎり」がトレンドになりつつあるのか?

9/13(金) 17:41配信

メシ通

毎年ミシュランの星付きシェフがブースを出す、パリの食の祭典「テイスト・オブ・パリ」。その会場内にて、パリで長年飲食店を営む「国虎屋」が、来場者たちにある日本食を紹介していました。
彼らが紹介していたのは、あの「おにぎり」。美食を求め訪れた来場者が、興味深げにおにぎりについて尋ねているのです。
一方、パリで年に数回華々しく開かれるパリコレ。フランスのトップブランド、バレンシアガがパリで開いたショーの裏では、ケータリングとしておにぎりが食べられていました。注文を受けたのは、パリにあるおにぎり専門店「おむすび権米衛」です。
以前のおにぎりは、一部のフランス人だけが知る、「日本のアニメ(漫画)に出てくる三角の食べ物」といったような認識でした。しかし今パリでは、その存在が少しずつ知られてきています。

そこで、おにぎりが人気を集める理由について調査をしてみた結果、浮かび上がってきたのは、「宗教・信条」「ボボ」といった2つのキーワードでした。

【フランス人の味覚】なぜ現地では白飯に「甘い醤油」をかける食べ方が好まれるのか?

多文化社会が今おにぎりを求めている

30年前、パリにオープンしたうどん屋「国虎屋」。2015年に始めた新業態が、エッフェル塔近くのパリ日本文化会館1階に店舗を構える「おにぎりバー」でした。名前の通り、おにぎりを専門に扱っている、パリ初の“おにぎり専門店”です。

パリ日本文化会館にやって来るお客さんの多くは、日本文化に興味がある人たち。しかしそれでも、おにぎりバーを開いた数年前はおにぎりという食べ物への知名度は低く、おにぎりを身近に食べている日本人から見ると「へんてこに思えること」が、しばしば起きたそうです。

パリの日本食の移り変わりをよく知る同店社長の野本将文さんに、これまでに体験した、おにぎりにまつわる出来事をうかがってみました。

──開店当初の2015年と比べて、パリの人々のおにぎりに対する認知度は変わりましたか?

野本さん:徐々に広まっています。ただ、初めは食べ方が浸透しませんでした。まずは海苔を食べ物とは思わずに、包み紙と間違えてはがしてしまう。「海苔も食べ物です」と教えても、その矢先に取ってしまう。
私たちが食べているところを見せながら教えると、「そういうことか」と納得してくれますが。今はもう大丈夫です、みなさんきちんと分かっています。

──食べ物とは思わないというのは、海苔の「黒」という色も関係しているのでしょうか?

野本さん:色は問題ありません。フランスで黒い食材といえばキャビアとかトリュフとか高級食材が多いですから。

──おにぎりバーの場合、日本のコンビニで売られているおにぎりのように、簡単に開封できるフィルムに包装されています。初見だと、開けるのは難しいのではないでしょうか?

野本さん:開封方法はフィルムに印刷してあります。しかし、実際はなかなかそれを読んでくれません。自分なりの方法で開けて、うまくいかなくなってしまう。
ただ、開け方も時間が経つにつれて理解が進んできました。すでに開封の仕方を分かっているお客さまが、隣のテーブルで手こずっている人に、自慢げに教える光景も見られます。ちなみに、包装機については、ヨーロッパ規格に合ったものを日本から購入して使っています。

──おにぎりの良さというのは携帯のしやすさと食べやすさですよね。

野本さん:フランス人がサンドイッチをほおばるように、片手で食べられるのが利点ですね。Bento(弁当)もパリで広まっていますが、おにぎりの方が場所を選びません。

──以前『メシ通』の記事で、「フランス人は白飯だけを食べるのが苦手だから、醤油をかけて食べる」というトピックを取り上げました。おにぎりは、白飯の割合が多めですが、その点について問題はありませんか?

野本さん:確かに、フランス人と日本人を比べれば、フランス人は白飯だけを食べることは得意ではないかもしれません。おにぎりを買っていただいた時に「醤油はありますか?」と聞かれることもあります。しかし、そういうお客さまは少ないです。おにぎりのご飯自体にも、塩を混ぜていて味はありますし。

──ただ、具の入れ方は日本のおにぎりと異なっているように感じます。

野本さん:当店のおにぎりは、種類によっては具をサンドイッチのように平たく伸ばして、ご飯でサンドしています。これはフランス人のお客さまにとっての食べやすさを意識しました。
うどん屋である「国虎屋」でも、どんぶりのメニューを出していますが、(日本人もそうですが)やはり具が多いほうがお客さまは喜びますし、ご飯だけを残す人もいますので。

1/5ページ

最終更新:9/13(金) 17:50
メシ通

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事