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『銀魂』の魅力は「受けの美学」、放送終了後も「らしさ」が出た「モンストコラボ」の裏側

9/13(金) 19:03配信

超!アニメディア

 TVアニメ『銀魂』とスマホアプリ「モンスターストライク」(以下モンスト)のコラボレーション第2弾が2019年9月2日より展開。本コラボでは、プロモーションの一環として、『銀魂』のキャラクターとモンストのキャラクターが共演する新作のアニメ映像『銀魂 ~モンスターストライク編~』が2本制作されている。9月11日の時点で、YouTubeで公開された1本目のアニメ映像は250万超再生(8月29日公開)、2本目のアニメ映像も200万超再生を記録(9月4日に公開)。どちらも3万以上の「高評価」を獲得するなど、作品のファンを中心に話題となっている。

 1本10分以上の尺の新作アニメを2本制作する……アプリゲームのコラボ企画として、ここまで大がかりの展開を実施するにあたり、どのような話し合いが行われ、制作が進行していったのだろうか。今回はアニメ『銀魂』のプロデューサーである樋口弘光、アシスタントプロデューサーの前川貴史にインタビュー。新作アニメ制作に至った経緯や、ここまでの反響を得た『銀魂』の魅力などについてお話をうかがった。

どんなキャラがきても万事屋がうまく転がしてくれる

――今回の『銀魂』とモンストのコラボアニメ、私も拝見しましたが、多いに笑いました。銀魂らしさ満載でしたね。

樋口 ありがとうございます(笑)。

――本アニメ映像の制作は、どのような経緯で決まったのでしょうか?

樋口 2018年にもモンストさんと『銀魂』はコラボしているのですが、ミクシィさんとしてはあの時以上のプロモーション展開をやらないと、という思いがあったようでして。

――“違う玉”を引っ張りハンティングしたCMだったため、静止画に差し替える、でも懲りずにWEBで差し替え前の近藤勲(ゴリラ)の動画をアップする、苦情受付窓口を設置するなど、色々と展開されていましたね(笑)。

樋口 はい。今回もまた未完成編という形のCMを流しちゃいましたが(笑)。

――流れちゃっていますね(笑)。

樋口 とにかく、前回の展開以上のものをということで、ミクシィさんから「アニメをつくれませんか……?」とご相談をいただいたのが、新作アニメを制作した経緯になります。実は最初のミクシィさんからの提案はもっとエグい内容だったんです(笑)。集英社さんも含めて委員会で確認したのですが、僕らが思っている『銀魂』らしさよりもエッジが利きすぎていたんですよね。『銀魂』って少年誌のなかでも異質な作品ですが、やっぱり『週刊少年ジャンプ』という少年誌に掲載されている、王道な作品ではあると思うんです。決して王道から外れてはいない。アニメ制作チームとしては、テレビの夕方枠でも放送できる、“王道のなかでの異質な作品である”ということは、常に意識してきました。そこはズレないようにミクシィさんとキャッチボールをしながら“銀魂らしさ”を作っていきましたね。

――なるほど。ちなみに、制作期間はどのくらいでしたか?

樋口 詳しくは伏せさせていただきますが、ある程度の尺があるアニメを作るうえではタイトでした。2本目は納品のスケジュールタイミングを調整させてもらったのですが、1本目に関しては夜中の3時までV編をやって間に合わせた記憶があります。

――時間だけで考えても、地上波で放送される30分アニメの1本分を作るくらいの物量ですよね。

前川 実際の制作カロリーはテレビ1話分以上に高かったです。

――そうなんですか!

前川 ちょっと裏事情を説明しますと…。今回はYouTubeでの配信なので、なるべくコンパクトに、観やすいものにしたほうがいい、という考えが当初からありまして。アニメ『銀魂』のテレビシリーズではAパート(前半15分)でひとつの話、Bパートでもうひとつの話の合計2エピソードで30分を完結させることもありますが、今回はそれぞれのエピソードを更に短い尺にして、より気軽に観られる映像にしました。

――公開されているアニメ映像では、1本の動画のなかにショートストーリーが3、4つ展開していましたね。

前川 はい。そうすると、テレビシリーズでは15分、もしくは30分のなかで起承転結があって見せ場を作っていたものが、短いエピソードのそれぞれに見せ場を作らないといけない。だから同じくらいの尺であっても、制作のカロリーは高くなりました。

――なるほど。制作の面ではどれも欠かせない作業かとは思いますが、根幹となるシナリオはどのように構築されましたか?

前川 最初に、モンストのどのキャラクターを登場させたいか、というリストをミクシィさんからいただきました。併せて、このキャラクターは何が好きで、何が嫌いか、どういう性格なのかという情報をいただいたり、YouTubeで配信されているモンストアニメを見たりして、なるべくキャラクターをインプットしたうえでシナリオ制作をスタートさせましたね。

――コラボをするうえでは『銀魂』らしさもモンストらしさも維持して、どちらの世界観も壊さないようにするのが大切なのかなと思います。この点で意識されたことはございますか?

前川 『銀魂』のギャグ回によくあるのが、万事屋のところに一癖も二癖もあるゲストキャラがきて、そのキャラにかき回されてオチが付くという構造。恐らく今回もそういうパターンに落とし込めるだろうという確信があったんですよ。『銀魂』はそのパターンを何度も繰り返して鍛えられているので、恐らくどんなキャラがきても万事屋がうまく転がしてくれるって思ったんです。実際、『銀魂』の世界に(モンストの) 神威が来たら真選組はこういうリアクションするよねとか、ルシファーに会ったら銀さんたちってこういうリアクションするよねというのがスッと出てきました。モンスト側のキャラクターはその『銀魂』の流れに乗ってもらう、みたいな構成が自然と出来上がった気がします。

樋口 僕個人としては、『銀魂』はプロレスの「受けの美学」に通ずると思っているんですよね。

――あえて相手の攻撃を受けた上で自分の攻撃で相手を倒す、相手を引き立たせたうえで自分はより魅せる攻撃をするという「受けの美学」。

樋口 プロレスが好きなので、そういう発想をしちゃいました(笑)。コラボ相手の良さを引き出したうえで“らしさ”を出せる、それが『銀魂』なんじゃないかな。アニメ『銀魂』の制作チームはみんな「受けの美学」を意識していたと思いますよ。これで監督に「違うよ」と言われたら恥ずかしいですけど(笑)。

――(笑)。『銀魂』ってその……表現が難しいのですが、他作品のオマージュをすることがあるじゃないですか。

樋口 ああ、パロディ回ですよね(笑)。あれもある種「受けの美学」ですよね。ほかの作品の魅力を受けて、それを『銀魂』らしく最後まで受ける。

――『銀魂』らしくやり切っているから、パロディ回の面白さが生まれているのかなと今のお話を聞いていて感じました。今回のモンストも無理なく受けられた?

樋口 そうですね。我々としては、ですが(笑)。

――そういった“らしさ”が全面に出ていたからこそ、「普通に銀魂だわ」「銀魂が帰ってきた」というような絶賛のコメントがファンから寄せられているのだと思います。

前川 お客さんが「『銀魂』が帰ってきてくれてよかった!」という温かい……いや、生暖かい空気で迎えてくれたのが嬉しかったです(笑)。

樋口 2018年10月にテレビシリーズを終えてから、1、2分くらいの短い尺のアニメはちょくちょく作っていたのですが、ストーリーがあって、キャラクターもここまで多く登場した映像は恐らく1年弱ぶり。お客さんも「待っていました!」という気持ちをもってくださっていたのかなと思います。

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最終更新:9/13(金) 21:51
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