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カヴァニャがラスト25km独走でグランツール初優勝 ログリッチェ落車も大事には至らず

9/14(土) 6:05配信

Cyclist

 スペインで開催中のブエルタ・ア・エスパーニャは9月13日、第19ステージが行われ、逃げ集団から残り25kmで単独アタックしたレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が、ゴールまで逃げ切ってグランツール初勝利を挙げた。途中、総合首位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が落車する場面があったものの、無事ゴールし上位陣に変動はなかった。新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)は81位だった。

10人が先行
 この日はアビラからトレドまでの165.2kmで行われた。序盤に3級山岳があるが、残りは下りと平坦基調で構成されるスプリンター向けコース。ただしゴール前ラスト2kmからは上りとなり、最後はユネスコ世界遺産であるトレドの旧市街地、石畳の急坂を駆け上がってのフィニッシュとなる。横風が予想されるなど、やはりブエルタ、一筋縄ではいかなそうなステージ設定だ。

 レースはスタート直後のアタック合戦を経て、最初の10kmで10人の逃げ集団が形成された。ここまで個人総合27位のベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)を筆頭に、ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト)、ニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ)、ドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・メリダ)、そしてカヴァニャらがまず先行する形となった。
 13km地点の3級山岳は、ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)が先頭で通過。メイン集団は3級山岳からの下りを終えた段階で、2分半以上のタイム差を許したが、早い段階でコントロールが開始。レースの中間地点までには約1分半、ラスト70kmでは約1分の差で逃げを射程圏内に収めながらレースを進めた。
メイン集団の落車で緊張
 アクシデントが発生したのは、先頭がラスト65kmに差し掛かろうとした頃。道幅の狭くなった緩い上りで、メイン集団で落車が発生したのだ。逃げ場がない状態で次々と選手が巻き込まれた大規模落車に、総合首位のログリッチェも壁に打ち付けられた。幸いログリッチェに致命的なダメージはなかったものの、集団落車により壁に囲まれた道は一時完全に塞がれてしまい、ストップした選手たちの再発進には時間を要してしまう。

 一方、落車を逃れたメイン集団前方では、総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)擁するモビスター チームが、ログリッチェのアクシデントを知ってか知らずかペースアップを開始した。通常、総合上位勢の落車など不可抗力による一時的な遅れの場合、これに乗じて攻撃をしないのが紳士協定とされているが、盤石の首位を走るログリッチェに対してあえての紳士協定破りか。
 ログリッチェの他には総合4位で新人賞ジャージを着るミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)も遅れた状態。両選手ともアシストが隊列を組んで必死にメイン集団へと戻そうとするが、横風が吹く中でメイン集団もペースアップしており、なかなか差が縮まらない。
 しかし最終的にはバルベルデがチームメートを制して、メイン集団のペースアップを止めさせた。約15kmに渡る追走劇は終わり、再びメイン集団はひとつになった。
カヴァニャが勇気ある先行
 逃げ続ける10人は、後半になりドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・メリダ)が脱落し、9人の先行グループとなっていた。メイン集団は落車の影響から、先頭とのタイム差は再び2分近くまで広がっていた。スプリントを狙うチームが追走のけん引に入り、新城が集団先頭を引く姿もみられた。
 先頭ではラスト25kmを切ったところで、カヴァニャがアタック。ゴールまでまだ距離があることから、他の選手はこれを追わず、カヴァニャが単独先頭となった。
 カヴァニャは単独ながら快調に飛ばし、ラスト10kmを追走グループから約25秒、メイン集団からは1分あまりの差で通過した。追走グループ内でもアタックがかかり、カヴァニャを本格的に捕らえる動きが始まったが、逆に勢いを増したメイン集団に飲み込まれてしまう。

 ラスト1kmでカヴァニャと後続の差は20秒あまり。上りの急勾配が待ち受けることを考えれば微妙な差だが、カヴァニャの脚はトレドの旧市街へと入り、石畳の急勾配でも最後まで止まらなかった。最終コーナーをクリアーしながら後ろを振り返り、メイン集団とは十分な距離があることを見て勝利を確信。24歳のフランス人がうれしいグランツール初勝利を飾った。

ブエルタは最終山岳決戦へ
 メイン集団は5秒差で、悔しがるサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)を先頭にフィニッシュ。集団の2番手はゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)、3番手はチームメートの勝利にガッツポーズをしながらフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が入り、仮にカヴァニャが捕まっても勝利を獲れていたであろうドゥクーニンク勢の盤石のレースぶりが光った。

 総合上位勢にはタイム差は付かず、いよいよブエルタはクライマックスの第20ステージへと進む。ラストの山頂フィニッシュを含め、190.4kmの長距離に6つのカテゴリー山岳が登場。2つの1級山岳は勾配こそ急ではないものの、距離はともに10kmを超える。山岳ポイント以外にも細かいアップダウンがあり、最後までレースの行方は分からない。最終日の第21ステージでは総合争いは行われないのが慣例のため、この日が個人総合争いにおける実質の最終決戦となる。
 首位のログリッチェに落車の影響はほぼない模様だが、集団けん引のアシストで非常に大きな役割を担っていたトニー・マルティン(ドイツ)がこの日の集団落車でリタイア。チーム力に不安を抱えながら最終決戦へ挑むことになった。

第19ステージ結果
1レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)3時間43分34秒
2サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)+5秒
3ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
5アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
6トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)
7ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)
8タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
9ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
10プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
81新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)+5分33秒
個人総合(マイヨロホ)
1プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 75時間0分33秒
2アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)+2分50秒
3ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)+3分31秒
4ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)+4分17秒
5タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)+4分49秒
6ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)+7分46秒
7ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)+9分46秒
8カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー、ロット・スーダル)+11分50秒
9ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)+13分23秒
10マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)+21分9秒
130新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)+4時間0分35秒
ポイント賞(プントス)
1プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)143 pts
2サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)114 pts
3アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)110 pts
山岳賞(モンターニャ)
1ジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)76 pts
2アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)44 pts
3タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス)35 pts
新人賞(マイヨブランコ)
1ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 75時間4分50秒
2タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)+32秒
3ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)+9分6秒
チーム総合
1モビスター チーム 224時間4分57秒
2アスタナ プロチーム+47分0秒
3ユンボ・ヴィスマ+1時間35分5秒

最終更新:9/14(土) 10:00
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