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理想求め、意志貫く 埼玉3偉人の1人、近代日本初の女性医師

9/14(土) 16:12配信

47NEWS

 埼玉県民ではない方々にとってはどうでもいいことかもしれないので、おそるおそる聞くわけだが、「埼玉3偉人」をご存知だろうか。(共同通信=田村文)

 3人の中で最も知名度が高いのは、実業家の渋沢栄一(1840~1931年)だろう。「日本資本主義の父」とも呼ばれ、2024年度から発行される新1万円札の“顔”になる。21年のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公にも決まった。いま、出身地である埼玉県深谷市は大いに盛り上がっている。

 もう1人は、盲目の国学者、塙保己一(はなわ・ほきいち、1746~1821年)である。文字が見えないので、人が音読したものを暗記して学んだ。抜群の頭脳を持つ努力家。希少な歴史書、和歌、日記などを集めた「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」約670冊を編さんし、ヘレン・ケラーが目標にしたという人物だ。こちらは本庄市生まれ。

 最後の1人は、他の2人に比べると知名度は若干落ちるかもしれない。しかし、いま最も注目されるべき人物だと思う。荻野吟子(おぎの・ぎんこ、1851~1913年)、熊谷市生まれ。近代日本初の女性医師である。

 ▽「明治時代なのか!」

 吟子の半生を描く映画「一粒の麦」が完成した。10月26日に熊谷市と東京・新宿で公開されるのを皮切りに、名古屋市、さいたま市、横浜市、札幌市、大阪市など、各地で上映される予定だ。8月下旬、さいたま市で試写会が開かれ、監督の山田火砂子さんや吟子を演じる若村麻由美さんが挨拶した。

 山田監督は昨年発覚した医学部入試における女性差別問題で「日本は明治時代なのか!」と憤慨し、製作を思い立ったと明かした。逆境を乗り越え、意志を貫いた吟子の生き方について、若村さんも「憧れと尊敬を持って演じられたことを幸せに思う」と語った。その人生はどんなものだったのか。

 江戸末期、武蔵国俵瀬村(現・熊谷市俵瀬)に生まれた。勉学を好む才女だった。10代で近郷の大地主の長男と結婚、ところがその夫から性病(淋病)をうつされたことがもとで離婚することになる。

 重い病状だけでなく、治療の際に男性の医師たちに診察・治療されることの羞恥と屈辱にも苦しんだ。だからこそ、同じ思いを持つ女性たちを救おうと、医師を志したのである。だが当時、女性が医師になる道はなかった。

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最終更新:9/17(火) 9:06
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