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全線100キロ未満なのに割引条件は101キロ以上? 複雑すぎる「障害者運賃割引」

9/14(土) 12:00配信

神戸新聞NEXT

 「なぜ鉄道会社によって障害者割引に違いがあるのでしょうか」。神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、聴覚障害のある兵庫県西宮市の男性(64)から、そんな質問が寄せられた。自宅から神戸方面に出掛けるとき、私鉄と地下鉄で割引があったりなかったりするのだという。取材をすると、当事者でも分かりにくい制度の複雑さが見えてきた。(田中真治)

【写真】形の違う点字ブロック なぜ混在?

 男性は元教員で、聴覚障害で最も重い2級の身体障害者手帳を持つ。旅客運賃の減額を受ける際の区分は、障害が重い人に適用される「第1種」。退職後、月に何度か神戸に講義に行くようになり、運賃の割引がまちまちなことに気付いた。

 阪神電車を神戸三宮駅まで利用しても割引はないのに、神戸市営地下鉄に乗り換えると半額に。ちなみに西神中央駅で乗り換える神姫バスも半額になる。

 主な鉄道各社の制度を見ると、第1種の身体・知的障害者が介護者と同乗した場合、2人そろって運賃が半額になる。しかし本人単独の場合、地下鉄では半額になるが、JRや私鉄では「100キロを超える区間」との条件が付く。

 障害者割引は旧国鉄が戦後に導入し、現行制度の基本となっているという。JR西日本は、介護者が必要な障害者は「1人分の運賃で利用できるよう5割引き」とする一方、単独での適用は「学生割引と同様、本人負担が高額となる100キロを超える区間に限っている」と説明する。

 男性は介護者がいなくても移動でき、近距離の利用が多い。「区間制限を廃止してほしい」と訴えるが、JR西は「本来、国の社会福祉政策の一環として行うべきもの」として見直す計画はない。

 神戸市営地下鉄の路線はもともと100キロ未満で、こうした距離制限はない。

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 ただ、そこで男性の疑問はさらに深まる。路線が100キロ未満にもかかわらず、割引条件を101キロ以上とする鉄道があるからだ。例えば全線で48・9キロの阪神電鉄はその一つという。

 阪神電鉄によると、1枚の切符で他社線に乗車できる「連絡運輸」も割引対象になるという。男性も知らなかった仕組みだが、調べてみると、最長区間は大阪難波-山陽姫路間の93キロ。結局、適用外は変わらない。なぜ、有名無実な条件があるのかは「旧国鉄の割引制度を基にしたためと考えられるが、詳細は分からない」とする。

 関西では阪急電鉄や神戸電鉄など他の私鉄の割引制度も横並びだが、全国的には西日本鉄道(福岡市)の手厚さが目を引く。

 1952年の制度導入当初から第1種の距離制限はなく、障害が軽度の第2種でも年齢を問わず本人は半額になる。障害者差別解消法の施行を受け、2017年には先駆的に精神障害者も対象に加えた。

 西鉄は「障害者の社会参加や自立支援を促す上で、必要な制度」としている。同社の18年度利用者数に占める障害者の割合は2%という。

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  この記事は神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた情報を基に取材しました。

最終更新:9/14(土) 12:09
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