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<エンタメノート>北斎と沖縄の関係は? 「うちなぁ噺家・志ぃさー」藤木勇人が広げる話芸

9/14(土) 14:09配信

毎日新聞

 沖縄を代表するマルチタレント、藤木勇人(はやと)さんからメールをいただいた。藤木さんは沖縄と東京を中心に活動を続ける一方、「うちなぁ噺家(はなしか)・志(し)ぃさー」として、もともと沖縄にはない落語を、沖縄に関係する題材で創作する「琉球落語」に取り組んでいる。14日に東京・新宿で独演会を開くという。しかも今回のテーマは葛飾北斎。北斎と沖縄の関係をご存じの方は、少ないのでは。

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 藤木さんは、沖縄市、コザと呼んだ方がわかりやすいかもしれない、沖縄本島中部のエイサーと米軍とチャンプルー文化の街の出身。かつては郵便局員を務めながら、笑いのユニット「笑築過激団」と、照屋林賢さん率いる「りんけんバンド」に参加していた。

 「笑築過激団」は、もちろん「松竹歌劇団」を文字って付けられた。玉城満さん(現在、沖縄県議)が旗揚げし、ゆうりきやー、普久原明、新垣正弘、津波信一、川満しぇんしぇー、泉&やよい――といった、沖縄の人ならほとんど知っている芸人、俳優、タレントを輩出してきた。1990年代前半に放送された「お笑いポーポー」(RBCテレビ)は、後にビデオ化もされた、沖縄では伝説のお笑い番組だ。

 一方の「りんけんバンド」は、照屋林賢さんをリーダーに、奥様の上原知子さんをメインボーカルに、しまくとぅば(沖縄の言葉)と楽器、現代の楽器を「チャンプルー」したサウンドで、北谷町(ちゃたんちょう)のホテルも併設したライブハウス、カラハーイを拠点に活動している。

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 沖縄の笑いと歌、そして郵便局の仕事という三役かけ持ちから独立した藤木さんは、一人芝居に挑みながら、沖縄関係のドラマ出演、しまくとぅばの指導など、沖縄を全国に知ってもらおうと最前線で活動をしてきた。NHKの朝ドラ「ちゅらさん」でご存じの方もいるだろう。

 そんな藤木さんは、立川志の輔さんの沖縄公演を長年手伝い、志の輔さんに師事。「うちなぁ噺家・志ぃさー」を名乗り、創作落語を手がけてきた。これまで、ウルトラシリーズ生みの親で沖縄出身の金城哲夫をテーマにした「うるとら哲夫」、ペリーが琉球に立ち寄った史実を題材にした「異聞ボード事件」などの作品を演じてきた。

 今回の作品は「葛飾北斎琉球八景外伝」。浮世絵師の北斎は、あまり知られていないが、実は琉球の風景画8枚を描いている。でも、北斎は琉球を旅したことはない。ではなぜ北斎は琉球の風景画を描いたのか、がテーマだ。

 少しだけ事実をひもとくと、この風景画は1832年、江戸幕府の11代将軍、徳川家斉の時代の頃。将軍の代替わりで慶賀の「江戸上り」で琉球王国も使節を派遣。江戸ではその唐風の使節を熱狂的に迎え、いわゆる「琉球ブーム」が起きたという。琉球関連の書や挿絵も出回った。北斎はその挿絵「球陽八景」を参考に描いたと言われている。

 このエピソードをどう膨らませて作品に仕上げるかが藤木さん、志ぃさーの琉球落語の聴きどころだ。今回も人懐っこい語りで、そしてわくわくさせてくれる作品になるだろう。

 公演は14日午後7時(6時半開場)、東京・新宿のアートアベニュー内富士見スペース(新宿NSビル18階)。2000円。問い合わせは03・5339・0551。

最終更新:9/14(土) 17:25
毎日新聞

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