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【中小企業へのエール】外国人労働者受け入れ 地方のためにも「流通業」追加が不可欠

9/14(土) 7:15配信

SankeiBiz

 今年4月から、日本の労働力不足を補うため、外食業や宿泊などの分野14業種を指定して、最長5年間の外国人受け入れ制度「特定技能」が新設された。この制度改正に関して、国会で大きな議論を呼んだことはまだ記憶に新しい。(旭川大学客員教授・増山壽一)

 そもそも外国人が日本で働くことは極めて難しく、研究職、法律家などの専門的な知識を持っている者や企業内の異動に伴う者のみが許されてきた。戦後長らく日本は過剰労働国家であり、また海外への移民なども出す国であったが、少子化などで国内の労働力が急速に不足してきた。

 今までは、留学生という立場での労働力や、途上国支援という名の下での技能実習制度を創設して、いわゆるブルーカラーとしての外国人活用を図ってきたが、双方とも制度の趣旨とは異なる脱法的な運用が目につくようになり、今回正面から特定技能として建設、自動車整備、宿泊、介護、農業、漁業、外食業などの14業種を指定し最長5年間の在留許可を出すこととなった。

 全国で仕事をしていて、最近ファストフード店における外国人の店員が急速に増加していることを実感するのはこの制度によるものだ。ただ、不思議なことがある。外国人店員の存在が目立つコンビニエンスストアなどの流通業が対象になっていないのである。留学生の活用でしのいでいるのであろうが、それももう限界である。また、特に地方のスーパーなどでの人手不足は、事業運営での死活問題となっている。なぜ、対象になっていないのか。

 私の推測だが、流通業は付加価値を生んでいない。レジのキャッシュレス補助などで十分補助金を出し、外国人を雇用する前に合理化すべきである。そもそも流通業は外国に誇れるような特定技能であるのか。あるとすればコンビニだけではないか。という反論が聞こえてきそうである。

 しかし、そういう方にぜひお勧めしたいことは、一度外国に行って「スーパーやコンビニをごらんなさい」と。整頓された商品陳列やディスプレー、店舗設計や在庫管理など日本の流通業がいかに素晴らしく、日本らしさを演出しているかを知ることだろう。流通業は、歴史的に皆にいい顔をしないといけないことから政治力を出さない業種であった。

 この14業種がニーズと政治力の総合力で決まったとしたら残念だ。次なる制度の見直しには、ぜひ流通業の追加が必要だ。そうでないと日本の地方のにぎわいや、生活は維持できなくなることを、私は強く憂うるのである。

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【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。57歳。

最終更新:9/14(土) 7:15
SankeiBiz

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