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投石、小銃威嚇…北の漁船、抵抗過激化か 食料得る「戦闘」不変

9/14(土) 1:11配信

産経新聞

 外貨獲得や食料調達のため、北朝鮮が海洋水産業を「戦闘」と位置づけ、国策で推進する中、日本の排他的経済水域(EEZ)の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺での違法操業が深刻化している。海上保安庁などが取り締まりを強化する中で今回、巡視船を小銃で威嚇した意図は不明だが、北朝鮮側の対応がより強硬化する恐れもある。

 ■退去警告、放水とも減少したが…

 スルメイカの漁期を前に海保は今年5月末から複数の巡視船を大和堆周辺に派遣。水産庁の漁業取締船とも連携し、EEZに侵入した漁船に電光掲示板や音声で警告。無視する漁船は放水で強制退去させている。

 取り締まりは違法操業の深刻化を受け、平成29年から強化されたが、今期、海保による退去警告は大きく減少。5月下旬から8月までにEEZに侵入するなどして退去警告した北朝鮮漁船は昨年、1085隻だったが今年の同期には694隻となった。退去させるために放水したケースも延べ129隻で、昨年同期の延べ360隻の3分の1程度になっている。

 大和堆への侵入は阻止しており、海保は「取り締まりの厳格化を認識し、北朝鮮漁船が早期に退去する傾向がある」と分析。状況は沈静化しつつあるともとれる。

 ■「武蔵堆」にも操業海域拡大

 一方で河野太郎防衛相は13日の記者会見で、今回の威嚇を受けて「国連安全保障理事会決議に基づく経済制裁の中、北朝鮮にとって水産物は食糧として重要なのだろう」と指摘した。

 大和堆をめぐっては、今年、北朝鮮当局が小型木造船に「遠洋操業」を禁止したとの情報があった。金正恩(キム・ジョンウン)政権による自国民への人権侵害が国際社会で指摘されるなか、強制的で過酷な操業が「非人道的」と批判される事態を避けようとしたとの見方もあったが、大和堆周辺には木造船が引き続き集まり、操業している。

 昨年の漁期には、巡視船が北朝鮮漁船から接触されて破損したり、投石されたりする事案が発生。今期も4件の投石が起きており、政府関係者は「現在も操業は続いており、抵抗が過激化する恐れもある。楽観視はできない」と懸念する。

 国連安保理で北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する専門家パネルの調査で、北朝鮮が外貨稼ぎのため、安保理決議に違反して中国漁船に漁業権を売却していることが判明。一方で大和堆などでの違法操業を継続している。水産資源をカネや食料を得る「戦闘」とする北朝鮮の姿勢に変化はみられず、大和堆と並ぶ好漁場「武蔵堆」のある日本海北方にも操業海域を拡大しており、日本側は警戒を強めている。(中村昌史)

最終更新:9/14(土) 8:23
産経新聞

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