ここから本文です

相川七瀬の『crimson』に隠された謎!?

9/14(土) 18:00配信

OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回は再評価の声も高まりつつある女性ロッカー、相川七瀬の『crimson』を取り上げる。1996年に発表した1stアルバム『Red』がチャート初登場で1位を記録し、翌年リリースの2ndアルバム『paraDOX』も同様にチャート初登場1位、さらには1998年の3rdアルバム『crimson』もチャート初登場1位という偉業を成し遂げた相川七瀬は、CD全盛期のミュージックシーンのド真ん中を堂々と闊歩したアーティストのひとりだ(女性ソロアーティストでデビューアルバムから3作連続で初登場1位を獲得したのは当時としては初の快挙であったという)。本コラムではCDセールスのピークであったと言われる1998年発売の3rd『crimson』を検証したい。
※本稿は2015年に掲載

アルバム『crimson』

『crimson』はM1「○○○○?」で幕を開ける。ギターリフとパーカッシブなリズム、そして何よりサビメロにザ・ローリング・ストーンズへのオマージュをいかんなく感じさせる王道R&Rナンバーだ。電子音の被せがちょっと気にならないでもないが、一時“和製ジョーン・ジェット”との異名を取っただけのことはある(筆者はそう呼ばれていたことは知らなかったけど、この呼び名は微妙ですね/苦笑)。オープニングから景気はいいし、カッコ良い。ロックアルバムとしては上出来である。M2は通算10枚目のシングルナンバー「Nostalgia」。シングル曲はやはり2曲目が収まりがいい。今聴いてもキャッチーなメロディーが心地良いし、炸裂するギターリフもスリリングだ。

ミディアムの8thシングルカップリングM3「さよならを聴かせて」~スローバラードのM4「眠れない夜」でテンポを落ち着かせて、M5「Night Wave」というインストにつなぐという2ndアルバム『paraDOX』でも見せた手法は、“相川七瀬=アルバムアーティスト”を印象付けている。M6「Bad Girls」はシングルバージョンとは異なるディスコティックな弦楽器をお気に召さないファンもいたようだが、これはこれで実にダンサブルで気持ちいい。筆者は圧倒的に支持したい。

M7「fragile」は、個人的にはシングルでもイケたんじゃないかと思う佳曲。メロディーの持つ日本的な叙情性が琴線を刺激する。ここからM10「彼女と私の事情」までは曲間なく続いていく。と言っても、今のJ-POPノンストップ・ミックスほどの妙味は薄いが、20年近く前のこととなれば好意的に捉えたいものだ。M8「Velvet moon」はハウス的なサウンドメイキング&リズムが基本だが、Aメロは変拍子的なビートも見せる興味深いナンバー。M9「たまんない瞬間」はプログレ的なギターリフが途中ロカビリー調に転調する、これまた一風変わったナンバーで、転調する瞬間に被さるサックス以下諸々の音が鼓膜をキリキリと刺激するような高音で、ややもするとノイズの域に入るほどだが、これも実に面白い。本アルバムの聴きどころのひとつであろう。

そして、9thシングルであるM10「彼女と私の事情」。シングル曲だけあってさすがにサビメロはキャッチーだが、高音のシャウトする様子は極めてロック的だと思う。また、M2「Nostalgia」もそうだったが、これもそうで、相川七瀬のナンバーはサーフロック的な匂いがする。まぁ、そもそもデビュー曲「夢見る少女じゃいられない」もそうであったが、とはいえ、ギターの音が分厚く、懐古的な雰囲気は皆無ではあるのが相川流である。そして、スローバラードM11「優しいうた」で本作は幕を閉じる。

1/2ページ

最終更新:9/14(土) 18:00
OKMusic

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事