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災害時に赤ちゃんの命を守る「ミルク」、備蓄していない避難所6割近くに

9/14(土) 14:59配信

ニュースイッチ

 大地震や水害などが毎年のように発生している日本。2019年9月には台風15号が関東を中心に大きな被害をもたらした。家庭で災害用備蓄を準備することはもちろんだが、身の安全を確保したり情報や物資を得るため、避難所に行くことも発生する。高齢者、障がい者、妊婦、乳幼児といった「災害弱者」(災害時要援護者)に向けた対策は自治体や避難所で進んでいるのだろうか。今回は乳幼児対策にスポットを当て、自治体や都道府県の対応を調査した。

 2015年3月に内閣府(防災担当)が公表した「避難所の運営等に関する実態調査」(市区町村アンケート調査)によると、男女共同参画や要配慮者支援の視点から避難所内に物資を「備蓄をしている」と回答した市区町村は全体の55%だった。備蓄をしていない」と回答したものから「他の場所に保管している」「協定を締結している」を除いた割合は29%。つまり災害弱者が避難しても約3割の避難所では対応ができないということになる。さらに備蓄されている品目別にみると、紙おむつ(小児用)が307自治体、離乳食が63自治体。自由回答では「粉ミルク」も挙がったというが、項目すら立てられていなかった。

 全国保健所管理栄養士会が調査した「平成30年度地域保健総合推進事業『大規模災害における栄養・食生活支援活動の連携体制と人材育成に関する研究』」では、「(固定)備蓄」の種類を地域防災計画に記載している35都道府県の中で、主食は100%なのに対し、粉ミルクは43%だった。またいわゆる災害弱者である「避難行動要支援者の備蓄」を記載している都道府県のうち、粉ミルクは41%となっている。これらは備蓄品目を記載している都道府県のみの統計だが、赤ちゃんが生きるために必要な粉ミルクの備えが進んでいないことがわかる。

個人でも対策に遅れ

 避難所での対応の遅れが見られる中、個人での対策も進んでいるとは言い難い。明治が2019年8月に実施した乳幼児を持つ母親や妊娠中の母親に実施した「乳幼児ママ・プレママの備蓄・防災に関するアンケート調査2019」では、「大規模災害を想定した準備・対策を行えているか」との問いに「まったくできていない」「あまりできていない」という回答が81.5%だった。「粉ミルク」類の災害備蓄率も約2割と低く、母乳が主な母親もいるとはいえ、災害の備えが十分とはいえないだろう。

 2019年3月に国内販売が開始した液体ミルクは、災害時においても活躍することが期待されている。グリコが2019年4月に実施した「アイクレオ赤ちゃんミルク」購入者アンケートでは、80.3%が災害時などの緊急時を想定して購入したと回答した。さらに購入したことで「災害備蓄への安心が増した」と回答した人(「非常にそう思う」、「そう思う」の合計)が97.6%と非常に高い数値となった。

 9月8日~9日にかけて関東地方に上陸した台風15号の被害に対し、江崎グリコは千葉県庁の依頼を受け液体ミルクを館山市、袖ヶ浦市、君津市、富津市、南房総市、鋸南町、木更津市に合計1,872本配送した。明治も液体ミルクの支援要請を受けたという。「災害時は水やお湯が十分ではないため、液体ミルクの必要性が高まる」(明治マーケティング本部の田中伸一郎氏)。

 液体ミルクなど災害時に活躍する製品と防災備蓄への理解が広まり、自治体と個人両方で防災に対する備えが進むことが急がれる。

日刊工業新聞・昆梓紗

最終更新:9/14(土) 14:59
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