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”今までのようなマスコミの論理は通用しない”京アニ事件・津久井やまゆり園事件から考える実名報道

9/14(土) 12:05配信

AbemaTIMES

「マスゴミ」「遺族の気持ちを無視した被害者の実名公表」「死者に鞭打つような真似」「遺族の気持ち考えろ」。京都アニメーション放火殺人事件の報道をめぐって、犠牲者の実名込みで伝えようとするメディアに対し、厳しい批判の声が上がっている。

【映像】ゲストを交えた激論の様子

 「実名報道」の是非について、10代~70代まで男女100人にアンケートを行ったところ、「実名を出した方が、事件のことが記憶に残り、この先忘れないでいようと思った」などとして「あり」と答えた人が11人だったのに対し、「遺族の気持ちを無視してあり得ない」「情報に何も価値がないと感じた」「悪質な行為」「行き過ぎた報道」「憤りを感じる」として、「なし」と答えた人は76人に上った。

 家族や関係者が拒んだとしても報道すべきなのだろうか。匿名では真相究明や再発防止につながりにくい、という主張は本当なのだろうか。そして、自社や業界の論理を優先し、「知る権利」や慣習を盾にして、説明や議論をする努力を怠る“上から目線“はないだろうか。そんな様々な疑問について、AbemaTV『AbemaPrime』が改めて議論した。

■警察が発表すれば報じなければならないのか?

 警察発表を受けてマスメディアが実名を報道するまでには、一般的には次のようなプロセスを踏む。

 (1)事件・事故の発生後、原則として警察が報道機関に被害者名を発表(ただし個人情報保護法、犯罪被害者対策法の観点から、被害者への配慮を理由に実名を発表しないケースもある)
 (2)各社はこれを受け、公共性、公益性、人権への配慮などを総合的に判断し、実名を伝えるかどうかを決定。

 その過程において、性犯罪の被害者、暴力団が絡んだ事件被害者、振り込め詐欺の被害者などについては実名が報道されないケースがあるが、京アニ事件の報道では、全国紙の新聞、NHK、民放の全社が25人を実名報道した。(全国紙についてはデジタル版と紙面で対応を変えているところもあった)

 元毎日新聞記者でノンフィクションライターの石戸諭氏は「今、各社はすごく揺れていて、ケースバイケースで判断するのが原則になりつつあるが、実名報道をする理由は、これは本当に起きたことだという“真実性の担保“に尽きる。今回の事件で言えば、京都市、京アニ、どなたが亡くなった、関係者は誰か、といった固有名詞が必要になってくる。そこで、いつ、どのようなタイミングで実名を発表するのかに関して、京都のメディアと京都府警との間で水面下の交渉が行われ、各社は被害者への取材が過熱しないよう議論・配慮したという。その上で、全社の判断が一致したということだ。ただ、90年代以降、犯罪被害者の声をしっかり聞こうという動きも出てくる中、そもそもなぜ実名報道が必要なのかということに関して、知る権利だなんだと言って、説明をせずに終わらせてきたことは反省すべきだと思う」と話す。

 これに対し、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「つまり、警察が発表するということと、メディアが積極的に報道するということはイコールではないし、メディアが広めなければ真実性は担保されないのか」と疑問を呈する。

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最終更新:9/14(土) 12:05
AbemaTIMES

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