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[書評]日本人の「不当利益」を助けた植民地体制

9/14(土) 6:46配信

ハンギョレ新聞

韓国近代経済史研究の日本人学者 土木請負業者を事例に「二重構造」を明らかに 朝鮮に投資された資金の大部分は再度日本人の手に… 「植民地近代化論」の有効性を問う

日本の学者が見た植民地近代化論-日帝強占期の日本人土木請負業者の不当利益を中心に
鳥海豊 著/知識産業社

 日帝強制占領期(日本の植民地時代)の朝鮮総督府が作成した統計年報には、1928年の朝鮮在住日本人と朝鮮人の人口、両者の郵便貯金の残高を示す統計が出ている。日本人約47万人の郵便貯金額が2648万円に達する一方、朝鮮人約1866万人の郵便貯金額は430万円に過ぎなかった。日本人1人当たり、朝鮮人より245倍多い資産を所有していた計算になる。この圧倒的な経済力の格差は、一体どこから来たのだろうか?様々な「実証的資料」を前面に出して「日帝強占期に朝鮮の経済が発展した」と主張してきた「植民地近代化論」は、この統計について果たしてどう説明するのだろうか?

 『日本の学者が見た植民地近代化論』は、韓国近代経済史を研究する日本人学者の鳥海豊氏(57)の博士学位論文を中心とする単行本である。韓国歴史研究院の常任研究員である著者は、公式統計だけでなく産業界の雑誌、新聞記事など様々な資料を動員して、朝鮮と朝鮮人を搾取して日本と日本人に不当な利益を与えた日帝強占期の「二重構造」を実証的に明らかにする方式で、植民地近代化論を理路整然と批判する。

 出発点は「なぜ日帝は朝鮮に工業を興そうとしなかったのか」という疑問である。3・1運動の直後、日帝は「産業調査委員会」を開くなど、朝鮮の経済を発展させるという態度を取り、その結果、「鉄道敷設と産米増殖計画」を出した。明治政府が「殖産興業」(政府主導の工業育成)を行ったのとは異なり、植民地朝鮮では、朝鮮経済が日本と競合する状況を避けるために、工業を抑制する代わりに道路や鉄道建設、港湾整備、水利組合事業などだけに投資を集中したのである。著者は「交通と通信機関の整備という方向性を提示することで、日本の工業を守り、朝鮮の外形のみを近代化していく形態を推進した」と指摘した。1939年までの朝鮮総督府の予算は合計55億円程度だが、このうち土木に関連した支出は10億7千万円程度だ。

 このように投資された資金は、朝鮮に居住する日本人土木請負業者が独占した。彼らは政治権力が定める制度などの保護を受けた。日本内地では会計法が制定されて一般競争入札原則が適用された時期だが、朝鮮などの植民地では、勅令による特命契約・随意契約で請負業者の任意指定が可能だった。1921年の会計法改訂により、朝鮮でも一般競争入札が原則となったが、政務総監通牒(1932年)などにより、すぐに無力化された。日本内地にはない「技術主任制度」が朝鮮でのみ施行されもした。朝鮮人請負業者を構造的に排除したのである。

 日本人請負業者がどのようにして「不当利得」を得たのかを見せてくれるのが、この本の白眉だ。彼らは賃金をピンハネしたり、ほんの少しだけ与えた。『朝鮮総督府統計年報』などの公式資料では当時、朝鮮人の重労働者の一日の賃金を80銭~1円程度と計算した。しかし著者は、新聞記事と協会発刊物、手記などの資料を参考にして、実際には30~40銭の水準だったという事実を示す。表面上は工事金額の半分近くを労務費に策定しておき、実際には6~17%程度しか払わず、残りを「不当利得」として得たのである。農業分野と思いがちな産米増殖計画でも、コメの増産よりは潅漑施設を造るなどの土木事業である水利組合事業が中心であり、その実体は「朝鮮農民に強制執行が可能な水利組合費を賦課し、日本人請負業者・地主などに不当な利益を与える」システムだった。

 日本から朝鮮に投資された資金の大部分を、再度日本人が掌握することができるこの「二重構造」の実体は、植民地近代化論が有効になり得るかを問い詰める。さらに進んで著者は「『収奪』の定義だけに縛られるのではなく、政治権力による経済領域の歪曲など幅広い概念で、日帝強占期の経済研究が前に進まなければならない」と、新しい研究の方向性も提案している。

チェ・ウォニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:9/14(土) 6:46
ハンギョレ新聞

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