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無名のB級映画が7日連続満席を達成!監督やキャスト、ファンの熱意が起こした奇跡

9/14(土) 17:00配信

まいどなニュース

まさかこんなことになるとは…。

全編神戸ロケ低予算超B級新感覚ホラーパニック完全自主制作アイドル映画「みぽりん」が、地元神戸の元町映画館で、9月7日から13日まで1週間限定上映されたのだが、なんと初日から最終日まで全て満席立ち見という輝かしい記録を打ち立ててしまった。劇場関係者によると、「1日1回、1週間限定」という同じ公開条件の作品としては、今夏4Kデジタルリマスター版が上映された超弩級の歴史的ドキュメンタリー映画「東京裁判」(1983年)に匹敵する反響という。一体どういうことなのか。最終日の劇場に潜入した。

【写真】監禁される声優地下アイドル神田優花を演じた津田晴香、舞台挨拶で感極まる

「みぽりん、いかがですか」

「神戸で撮影した映画です、見てみませんか」

13日午後7時前、劇場前では最早おなじみとなったキャストやスタッフによるにぎやかな呼び込みが行われていた。そしてこの日も見事に全66席が完売。支配人の林未来さんは語る。「全ての回を満席にできたのは、なんと言っても彼らの頑張りがあったからこそ。上映が決まってからの数カ月間、フェイス・トゥ・フェイスでとにかく宣伝を頑張ってきたのは本当にすごいことだと思います」

「みぽりん」の予告編が初めて人の目に触れたのは、今年4月の元町映画館だった。6月には、2018年に大ヒットした「カメラを止めるな!」のスピンオフ映画「ハリウッド大作戦!」上映前に紹介されたことで、カメ止めファンらが“発見”。「神戸で変な映画ができたらしい」という情報がTwitterで拡散され、知名度と期待値がぐいぐい上がっていった。7月のカナザワ映画祭では「期待の新人監督」で観客賞を獲得。平行して松本大樹監督やキャスト、スタッフらが「ビラくばーる部」と称して神戸や大阪、京都、東京に散り、地道な宣伝活動に明け暮れた。

公開直前の9月2日には、神戸のライブハウスで劇中の声優地下アイドルが出演する異例のライブイベントを開催。神戸に支店を置くCDショップ、タワレコとHMVがタッグを組んで「みぽりん」を応援するというミラクルまで起こしてしまったが、その一方で、春ごろから休みなく飛び回り続けた松本監督は10kg近く体重が落ちたという。……心労?

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最終日は監禁絶叫上映!「みぽりん頑張れ!!!」

さて、打てる布石を全て打って迎えた公開日。元町映画館には初日から1日も欠かさず松本監督や主要キャストらが足を運び、舞台挨拶やトークショー、サイン会などで観客への感謝を伝えた。その熱意に多くの人が突き動かされたのか、劇場はまさかの満席続き。熱狂が冷めることのないまま、とうとう1週間を駆け抜けてしまったのだ。

最終日はその集大成として、キャストやスタッフも参加しての「監禁絶叫上映」を実施。劇場のシャッターが閉まり、本当に“監禁”された観客たちはなぜか大喜びで、映画が始まると「契約書はちゃんと読もうよ!」「みぽりん頑張って!」「よく見て!後ろに誰かいるよ!」などの声援がひっきりなしに飛び交っていた。

上映終了後は、関係者が1人ずつ挨拶。「まさか劇場公開されるとは思っておらず、夢のような1週間だった」「素晴らしい景色を見せてもらった」「元町映画館や神戸の人たちの応援が温かかった」などと時に涙ぐみながら感謝の言葉を述べる姿に、大きな拍手が送られた。

カメ止めのヒットに背中を押され、初めてオリジナルの長編映画を制作した松本監督は「見るたびに『もっとこうすればよかった』と反省点ばかり目についたが、絶叫上映の盛り上がりを見て、作ってよかったと心から思えた。ワケのわからない自主制作映画を推してくれた元町映画館、拙い作品を全力で盛り上げてくださったファンの皆さんに改めて感謝したい」と万感の思いをにじませ、「東京じゃなくてもこれだけできるということを証明できた。これからも、ここ神戸でB級映画を作り続けます」と力強く宣言した。

最後に、11月1日から地元神戸のシネコン「OSシネマズ神戸ハーバーランド」で上映されることがサプライズ発表され、盛り上がりは最高潮に。これを受け、過去に「みぽりん」を全力プッシュするとTwitterで宣言していたOSシネマズの公式アカウントは「この気持ちは今も全く変わらないし、むしろめっちゃ熱量増してます!!」と改めて投稿。キャストやスタッフ、ファンの心を震わせた。

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この気持ちは今も全く変わらないし、むしろめっちゃ熱量増してます‼️ https://t.co/qZ9vGY6GSp

― OSシネマズ<公式> (@OS_Cinemas) September 13, 2019
結局、「みぽりん」は何がすごかったの?

それにしても、粗削りにもほどがある「みぽりん」のどこにファンは惹かれるのだろう。

7日間、毎日元町映画館に通った大阪の男性ちょびさん(40代)に訊ねてみた。「正直、自分でもよくわかりません。でも毎日見ていると、『意外とサスペンスの作りがちゃんとできているんだな』みたいな発見がいろいろあって楽しかったですよ。監督やキャストの皆さんには、お返しできないくらいたくさんの思い出をいただきました!」

ちなみにちょびさんは14日から上映が始まるシネ・ヌーヴォX(大阪)にも毎日通い、さらには京都、東京にも足を運ぶそうだ。きっとハーバーランドにも日参するのだろう。そんなことを続けていて、市民税はちゃんと払えるのかしら…。

「みぽりん」で映画初主演を果たした垣尾麻美さんは、今年で40歳。笑顔でファンと交流する彼女を見ながら、マネージャーの露木一矢さんは「垣尾は代表作もなく、『みぽりん』に関わる前は人生を捨てたような感じすらありましたが、顔つきがずいぶん変わりましたよ。この道でやっていくという覚悟と自信がにじんでいます」と感慨深げに話した。

多くの人の人生を変えた「みぽりん」。次はあなたの人生が変わる番かもしれません。ちなみに、私の人生には特に影響はありませんでした。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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最終更新:9/14(土) 17:00
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