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停電今も、乳量は激減 千葉の酪農 台風“後遺症”

9/15(日) 7:10配信

日本農業新聞

牛舎の補修に懸命 体調崩し死亡牛も

 9日未明に台風15号が関東地方を襲ってから、間もなく1週間。千葉県南房総市や館山市では、今も停電や断水が続く地域がある。地域の集乳量は台風襲来前の半分以下にとどまり、酪農家は乳牛を気遣いながら搾乳や牛舎の修繕に追われている。「何とかしなければ」。ボランティアや酪農家仲間の力や励ましの声に支えられ、復旧に取り組み始めている。

 横倒しの道路標識や倒木、吹き飛ばされた屋根が痛々しい家屋──。いまだに暴風雨風の爪跡が残る南房総市で乳牛130頭を飼う庄司学さん(48)は、14日も破損した牛舎の補修に追われた。

 「今まで経験したことのない暴風」(庄司さん)で、3棟ある牛舎は屋根が一部吹き飛ばされ、事務所の窓ガラスも破損した。さらに停電で、酪農に欠かせない電力を喪失。同県内で続く大規模な停電の影響で、庄司さんの牛舎も11日まで停電が続いた。

 「苦しかった」と庄司さん。停電のため機械で搾乳ができなかった他、牛舎内に風を送るファンが動かず、体調を崩して育成牛1頭が死んだ。

 今は電気が復旧し搾乳を再開したが、乳量は平常時の半分以下に落ち込んだ。庄司さんは「建物などの被害も含め、被害額は数千万円に上るのではないか」とうつむく。

 今、牛舎の屋根の応急補修でブルーシートを張る作業には、近所に住む高校生の大西健太郎さん(16)が協力している。「小さい時からかわいがってもらっているので、何とかしないといけない」。大西さんの言葉に、庄司さんも「頑張ってくれて、本当にありがたい」と目を細める。

 館山市の須藤牧場。須藤陽子さん(56)の元には今、全国の酪農仲間から激励の連絡が来るという。乳牛130頭を飼う牧場では9日中に電気が復旧したが、電話などがつながらず、連絡がつかない酪農家がまだ多い。インターネット交流サイト(SNS)での情報を頼りに気をもむ毎日だ。須藤さんは「停電が解消されていないところは心配。何とかしたいのだが……」と話す。

 南房総市にある千葉県みるく農業協同組合南部支所によると、同組合の集乳量は13日時点でも、台風襲来前の4割にとどまっている。停電で搾乳機が使えなかったり、発電機を調達できても搾った生乳を急速に冷やすバルククーラーを動かす電力まで賄えなかったりするからだ。電気が復旧しても乳房炎を防ごうと乳量を抑え、与える餌を少なくしている酪農家もいるという。(木村泰之、中村元則)

最終更新:9/15(日) 7:10
日本農業新聞

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