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【漢字トリビア】「調」の成り立ち物語

9/15(日) 11:12配信

TOKYO FM+

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「調和」「調整」の「調(チョウ)」。
「調べる」「調える(ととのえる)」という訓をもつ漢字です。残暑がやわらぐ秋口にこそ、体調への気遣いを。そんな思いをこめてひもとく漢字です。
(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年9月14日(土)放送より)

「調(チョウ)」「調べる」という字は、
ごんべん(言)に「周囲」「一周、二周」の「周(シュウ)」と書きます。

「周(シュウ)」は長方形をした盾の形で、その盾の表面全体に美しく整った彫刻をした様子を表しています。
ごんべんは、言語や表現や状態を表す部首。
そこから「調(チョウ)」という漢字は美しく整った盾の状態を表し、「ととのう、そろう」という意味をもつようになりました。

また、中国最古の字書『説文解字(せつもんかいじ)』には、「調は和するなり」とあり、
「互いがほどよくつりあう、調和する」ことも意味しています。
さらに、ととのえるために様子を測ることから、「しらべる」といった意味も派生していきました。

空気が澄み渡る秋の訪れ。
いのちが調和し、成熟してゆく様子を五感で楽しめる季節です。
色づきはじめた木々の葉や、高い空を悠々と泳ぐうろこ雲。
さわやかな夜風が運ぶ虫の声。
熱めのお茶も温めたお酒も、しみじみとおいしく、食卓に並ぶのは、待ち遠しかった秋の味覚。
芋、栗、かぼちゃ、きのこにさんま。
おだやかな秋の調べに導かれ、猛暑に疲れた人々のからだは、本来の調子を取り戻すのです。

今日の漢字は「調子」「調味料」の「調(チョウ)」。

ごんべんの右側に書かれた「周(シュウ)」の形は、表面に美しく彫刻を施した盾を表すことから、「ととのう、そろう、あわせる」という意味をもつ漢字になりました。
この漢字には「すみずみまで考えを行き届かせる」という意味もあります。

そこで、食欲の秋にちょっとしたおさらいを。
「さ・し・す・せ・そ」は、料理の際に使う調味料の順番を覚えやすくしたものです。
各調味料の最初のひと文字を並べたこの順番を守ることで、
作り手の配慮が行き届き、素材の味を活かした和食がおいしく出来上がります。

まずは、味のしみこみが一番遅い「砂糖」から。
塩は水分をとばして材料を固くしてしまうため二番目に。
殺菌効果など、大事な成分を熱で失わないように「お酢」は三番目。
「せうゆ」と読ませる醤油と味噌は、それぞれの香りを生かすため最後に入れます。

先人の知恵を活かして楽しむ、日本の秋の味覚たち。
旬を迎えた食材が、体調をしっかり整えてくれます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……。
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
     『みえないもののうらがわは?』(広田千悦子/技術評論社)
(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」9月14日(土)放送分より)

最終更新:9/15(日) 11:12
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