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食品の安全・安心が揺らぎ大きな課題を残した平成時代

9/15(日) 20:20配信

日本食糧新聞

平成の三十余年間に食品の安全・安心は大きく揺らいだ。食品企業による事故・事件、表示の偽装・ミスなどに加えて、鳥インフルエンザ、口蹄(こうてい)疫、牛海綿状脳症(BSE)などの感染症などもあり、行政の制度、国際的な整合性への対応などが課題となった。行政も食品安全委員会や消費者庁を設置し、制度を変更してきた。

2事件が生協を巻き込む

HACCP(危害要因分析重要管理点)を義務付けた食品衛生法、食品表示法など法令順守(コンプライアンス)体制の構築、企業の社会的責任(CSR)、持続可能な開発目標(SDGs)、海外の小売業などが要求している食品安全マネジメントシステムなどへの対応が令和の時代にも課題としてつながっている。

食品表示ミスは以前にもあったが、農林水産省などの監視も強まり、2006(平成18)年ごろからは偽装などが多く発覚した。また、今までの食品衛生管理では想定していないような事件も起きた。

事件、事故などを起こした食品企業が指導などの行政処分に加えて、刑事罰の色合いが強い詐欺罪に問われる事態にまで発展する。そうした企業から商品を調達した企業にも影響が出る。2007(平成19)年と2008(平成20)年に、日本生活協同組合連合会が巻き込まれた二つの事件があった。

北海道のミートホープ社による牛肉の偽装と、中国の天洋食品で製造した冷凍ギョウザへの農薬の意図的な混入。日本生協連はPB(自主企画)商品の委託先に責任を転嫁せず、自らも消費者などに謝罪した。こうした事件もあって消費者庁が設立し、食品表示法が順次、施行された。今はフードディフェンスに多くの食品メーカーが取り組んでいる。

2007年6月20日に朝日新聞がスクープ記事を掲載した。日本生協連がPB商品として販売している「CO・OP牛肉コロッケ」の原料が牛肉ではなく、内臓肉や他の畜種だったのだ。牛肉コロッケ自体は北海道の冷食メーカーが製造していて、同社はミートホープから原料を調達していた。

ミートホープではもともと元社員が「不正が行われている」ことを朝日新聞に情報提供する前に、農水省の地方機関である北海道農政事務所、北海道庁、北海道警察には伝えていた。JAS法事案のため道警は動けず、北海道農政事務所は「北海道内でのみ流通している」「業者間取引はJAS法では積極的に取り締まれない」とし、道庁に任せる判断をしたという。道庁はそのような連絡を受けていないとしている。

朝日新聞に記事が出てから、道警、道庁、北海道農政事務所も動き、首謀者を虚偽の情報を提供したとして、不公正競争防止法で検挙、後に詐欺罪としても立件した。

農水省はJAS法でも業者間取引にも表示や送り状などによる情報伝達を義務付け、警察庁、厚生労働省、公正取引委員会との連絡窓口を設置し、情報を共有化できるようにした。

日本生協連の検査センターはコロッケの中に使われている肉の量を検査していたが、「まさか牛肉以外のものが使われている」とは考えていなかった。日本生協連も被害者ともいえるが、日本生協連の山下俊史会長(当時)は日本食糧新聞の取材に「本当の被害者は組合員、消費者」と自らを厳しく責めていた。

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最終更新:9/15(日) 20:20
日本食糧新聞

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