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社説[あおり運転]厳罰化へ法整備を急げ

9/15(日) 14:50配信

沖縄タイムス

 極端な接近や幅寄せ、前に回り込んでの急ブレーキやライトでの威嚇など重大事故につながる危険性が高い「あおり運転」による事件・事故が後を絶たない。

 愛知県警は14日、同県内の東名高速道路で前方の車をあおった上、エアガンを発射したとしてワゴン車を運転していた男(40)を器物損壊容疑で逮捕した。

 12日には同じ愛知県内で、バイクに追い越された軽トラックがあおり運転をしながら約7キロにわたってバイクを追いかけ回したなどとして暴力行為法違反の疑いで男(44)を逮捕した。男性は公園の駐車場にバイクを置いて逃げたが、男は車内にあったつるはしを持って近づき脅した疑いが持たれている。

 いずれも重大事件に発展しかねない。

 2017年に神奈川県の東名高速道路で後続車にあおられ停車させられた車の夫婦がトラックに追突され死亡する大惨事が起き、あおり運転が社会問題化した。

 警察庁はこの事件後、危険な運転者に対する「あらゆる法令を駆使した」捜査の徹底を各都道府県警に通達した。

 前の車との距離を詰めすぎる道路交通法の「車間距離保持義務違反」で18年中に全国で1万3025件が摘発された。前年からほぼ倍増し、約9割が高速道路上で起きていた。取り締まり強化によってあおり運転の実態が顕在化したとみるべきだろう。

 問題は現行の道交法に、あおり運転の定義や処罰する規定がないことである。

 ■ ■

 車間距離保持義務違反は3月以下の懲役または5万円以下の罰金にとどまる。

 人の命を奪う危険もあるあおり運転に対し、軽すぎるとの声が出るのは当然である。

 罰則がより重い自動車運転処罰法の危険運転罪や、刑法の暴行罪などでの摘発もあるが、公判で事故の状況や故意の有無などを巡り、罪の成否が争われるケースがある。

 やはり、道交法に「あおり運転罪」としてきちんと書き込むことが必要だ。

 自民党は交通安全対策特別委員会であおり運転の規制や罰則強化に向け、法整備を検討することで一致した。

 平沢勝栄特別委員長は現行法が想定していない危険行為が相次ぎ、警察が対応に苦慮していると指摘。道交法改正の必要性などに言及した。

 あおり運転がやまない現状をみれば法整備が急務であることは明らかだ。

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 だが、厳罰化だけではあおり運転が完全になくなるとは思えない。冒頭の愛知県警に逮捕された2容疑者の事件も「怒り」を募らせた結果だった。車を運転すると攻撃的になる人は珍しくない。欧米では「ロード・レイジ」(路上の激怒)と呼ばれる。免許取得時や更新時にアンガーマネジメント(怒りのコントロール)の講習を義務付ける安全教育も一つの方法だろう。

 残念なことだが、自衛策も考えなければならない。あおり運転されてもパーキングエリアなど安全な場所に入り、ドアを開けずに110番通報する。ドライブレコーダー設置も検討する必要があろう。

最終更新:9/15(日) 15:55
沖縄タイムス

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