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80代女性の記憶基に60年ぶり復活 沖永良部で組踊「高平良」上演 集落の「誇り」次世代へ

9/16(月) 10:04配信

琉球新報

 【沖永良部で藤村謙吾】「畦布には素晴らしい芸能がある」「畦布に生まれて良かった」。鹿児島県大島郡和泊町畦布の組踊「高平良(たかてーら)(万才)」が15日、60年ぶりに畦布字生活館で上演された。上演後、区民は貴重な芸能が残る字への誇りを口にした。主役の「謝名ぬ子」を演じた清水誠さん(37)は「これで終わらせたくない。伝承が目的だ。次の世代につないでいく」と目を輝かせる。


 「高平良」は、中村スエさん(86)が10年前から、畦布の芸能記録や20代の頃に自身が観賞した舞台の記憶を元に、台本制作に取り組んできた。しかし、スエさんが起こした台本はひらがなの表記が多く、意味も分かりづらいものだった。2017年ごろにスエさんの活動を知った県立芸大付属研究所専任講師の鈴木耕太さんが、ひらがなを漢字に変え、台本の現代語訳に協力したことで、復活へと本格的に動き出した。

 3月末に配役が決まり、練習が始まると、出演者はスエさんが読み上げるせりふを録音して慣れない琉球古典語の習得に努めた。高平良御鎖の陣羽織や、劇中に踊られるかせかきの「綛(かせ)(糸を巻く道具)」などの道具も区民で作った。


 本番当日、畦布字生活館には「60年ぶりの復活 つなげよう伝統芸能 アジフぬ奇跡」の横幕が張られ、組踊「高平良」をはじめとした字の芸能を紹介するパネルが展示された。

 上演が始まると、懸命な演技に歓声が自然と起こった。観客の興奮が冷めやらぬ中、終幕を迎え、主役の2人が下手に去って行く姿を見つめるスエさんの瞳には涙が浮かんでいた。スエさんは「『高平良』を復活させるまで死んでも死にきれないと思っていた。思いをくんで大役を果たしてくれた出演者が、かわいくてたまらない」と目を細めた。

琉球新報社

最終更新:9/16(月) 11:31
琉球新報

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