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ロシアの男性美容ブロガー、保守的社会の性規範に挑戦

9/16(月) 10:02配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【9月16日 AFP】ロシア・モスクワ中心部にあるサロンの一室で、銀髪のゲボルグ(Gevorg)さん(26)は、長くて黒いまつ毛にマスカラを塗り、頬骨にハイライトを入れて鏡に映る自分の顔をチェックした。

 ロシアでは、インターネット上でメークの仕方を教えたり、美容に関するアドバイスを行ったりする若い男性ブロガーが増えている。ゲボルグさんもその一人だ。彼らのこうした活動は、知名度や収入アップにつながるだけではない。保守的なこの国の厳格な性規範に対する挑戦でもあるのだ。

「自分の仕事は楽しい教育のようなもので、人々が別の方法で成長する手伝いをしている」と、ネット上では名前だけを公表しているゲボルグさんは話す。

 ゲボルグさんは数年前から、ネット上でメークのコツをアドバイスしている。化粧品店で働くうちに、商品の使い方がマンネリ化している女性客が多いことに気付いたという。

 今では定期的にインスタグラム(Instagram)を更新し、週に何本か動画をユーチューブ(YouTube)に投稿している。フォロワーや購読者は25万人を超え、その多くが若い女性だ。

「メークは娼婦みたいにけばけばしくするものではないと幅広い層に伝えること、どんな生き方をしていようとも思い通りに自分を表現し、選択肢を持っているということを示すことが自分の仕事だ」とゲボルグさんは話す。

 ここ数年、男性美容ブロガーたちが世界中で人気を集めている。だが、ロシアでは2013年に同性愛宣伝禁止法が制定され、LGBT(性的少数者)の活動は違法とみなされるようになった。その上、政治家らは男女平等を推進するよりも女性の美しさを称賛しがちだ。そのため、こうした男性ブロガーが注目を集めることは、ロシアでは特別な意味を持っている。

 ■「男のくせに」

 ゲボルグさんは、化粧品についての投稿を始めた当初、ネット上の攻撃的な書き込みに対処するのに苦労したと明かす。ゲボルグさんがアルメニア系であることを引き合いにした内容も多かった。「アルメニアの文化ではそんなことは許されない、不道徳だ、と言われた」

 ゲボルグさんはネット上では派手なメークをしているが、街を歩く時にはトラブルに巻き込まれないようメークは薄くするかまったくしないようにしているという。

 他の有名男性美容ブロガーたちも、ネット上や実社会での嫌がらせを報告している。インスタグラムのフォロワーが40万人を超えるイーゴリ・シニャック(Igor Sinyak)さんは今年、若者グループから脅迫されたという。

 だが、12年前から活動するロシア初の男性美容ブロガーを自称するセルゲイ・オストリコフ(Sergey Ostrikov)さん(31)は、ロシア人はこの種のコンテンツに対し以前よりはるかに寛容になったと話す。オストリコフさんは現在、二つのコスメブランドを手掛けている。

「最初の頃は猛烈に批判された」「大半は女性からで、『男のくせによくも女性だけの世界に入ってきたものだ』と言われた」とオストリコフさんは話す。

 だが、男性美容ブロガーが増えたことは、ロシアのLGBTコミュニティーにとって「間違いなく」力になっているという。「子どもの頃からこういうものを見ている『デジタルネーティブ』世代は、すべてをとても冷静に受け止めている。この10年間であらゆることが変わり、以前よりも楽になった」と続けた。

 映像は、6月14、26日、7月3日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:9/16(月) 10:02
AFPBB News

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