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在宅医療がリスクを高めることも…災害時に高齢者が直面する“障壁”

9/16(月) 18:30配信

FNN.jpプライムオンライン

9月16日は「敬老の日」。社会に尽くした高齢者を敬愛し、長寿を祝う日だ。

祖父母や両親にはいつまでも元気に暮らしてほしいと考える人も多いだろうが、もし災害に遭遇したらという想定はできているだろうか?

【画像】グラフでは差が歴然...各県の年代別死亡率

災害時における高齢者への対応は、これまでも課題とされてきた。

シニア世代には若者に負けないくらい元気な人もいるが、多くは身体機能の衰えや持病などを抱えていることだろう。避難行動に必要な走る・重い荷物を持つといった動作が難しいだけではなく、避難先での生活に耐えられず、体調や精神状態を崩してしまうこともあるという。

高齢者がなぜ犠牲になってしまうのか

このような危険性があるのにも関わらず、いざ災害が発生すると、高齢者が犠牲となるケースが後を絶たない。内閣府によると、東日本大震災の被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県では、2011年3月11日~2013年3月11日までの間に、1万5,681人(年齢判明者)の死者が確認されているが、約66%に当たる1万360人が60歳以上だ。

また、2016年の台風10号では、岩手・岩泉町のグループホームが洪水に襲われ、逃げ遅れた入所者9人が亡くなっている。この被害がきっかけとなり、要配慮者(高齢者などの総称)施設側には非常時の避難経路などをまとめた「避難確保計画」の作成が義務付けられるようになったが、その策定率は2019年3月末現在、35%ほどにとどまっている。

現代社会では、高齢者が社会から孤立してしまうケースも少なくない。災害時、高齢者はどのような“障壁”に直面するのか。周囲はどう手を差し伸べたら良いのだろうか。災害研究を行う、同志社大学の立木茂雄教授に話を伺った。

震災の前後で急激に変化した環境につらさを感じる

――高齢者は、本当に災害の犠牲になりやすい?

警察庁が東日本大震災から、約1年後に発表したデータが参考となります。

このグラフは、岩手・宮城・福島の3県の年齢別の死者割合(グレーの棒)と全年齢の人口構成割合(白の棒)を重ねて示したものです。グレーの棒が白の棒より長いほど、人口比での死者数が増えるのですが、このグラフでは、60代以上はグレーの棒が長く、50代を境に白の棒が長くなっています。要配慮者は、自力では避難できずに、誰かの助けが必要なため、災害の犠牲になりやすいと言えます。


――災害時に高齢者はどんな困りごとを抱える?

東日本大震災から約2年半経ったころ、宮城県仙台市に被災者を集めて「実際に困った」ことを語ってもらったことがあります。そこでは、高齢や身体的不自由で困るというよりは、震災の前後で急激に変化した環境につらさを感じるという反応が目立ちました。

例えば、津波の被害でガソリンスタンドが営業できなくなると、介護してくれるヘルパーが来られなくなったり送迎用の車が使えなくなるなどして、活動の制限や社会参加の減少につながります。生活にこのような「障壁」があふれてしまうというのです。

避難所生活もこの一つで、避難所は健常者向けの環境しか整っていません。「ここでは暮らせない」と車中泊をしたり、避難所で感染症にかかったりした結果、震災からは生き延びることができたが、その後の「震災関連死」で亡くなる高齢者もいました。

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最終更新:9/16(月) 18:30
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