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「仮想通貨」が壊れた国際通貨システムを修復する方法 ── 「ビットコインを買おう」ではない提言

9/16(月) 7:00配信

CoinDesk Japan

国際通貨システムは壊れている。その修復に一役買うことは、仮想通貨やブロックチェーン技術を支える暗号技術者に絶好のチャンスとなる。

そして今、暗号技術者たちは国際通貨システムを担う大物の一人を味方につけた。退任予定のマーク・カーニー(Mark Carney)イングランド銀行総裁だ。

カーニー総裁は、ワイオミング州ジャクソンホールで開催された国際経済シンポジウムにおいて、各国の中央銀行は新たなバスケット方式の「人工的な基幹通貨」を作るために、国家によるデジタル通貨ネットワークを構築することができると語った。

カーニー総裁の提案は主に、現在のシステムが世界の基軸通貨としての米ドルに依存していることから生み出される、危険な不均衡の解決策に関する会話を刺激するための思考訓練だった。つまり、必然的に具体性は薄いものだった。

どのような解決策も、技術的にも政治的にも複雑なものになる。カーニー総裁は2020年1月に退任するが、それでも公職にある立場として慎重さが求められたのだ。

しかし、筆者にはそうした制約はない。

なので、壊れている国際通貨システムに対する仮想通貨をベースとした解決策について、筆者の控えめな提案を披露しよう。ヒントは「ビットコインを買おう」ではない。

筆者は実績のあるエコノミストでも、暗号技術者でもない。だから、この傲慢な行動が反対論者を呼び込むことは承知している。批判や提案は歓迎する。

また、これを考えたのは私が最初ではないこともよく分かっているので、同様のプロジェクトに取り組んでいる人たちからの意見もぜひ聞きたい。

筆者は長年、国際金融システムと仮想通貨の構造的欠陥のことばかりを考えてきた。5冊の著書のうち、3冊はそうしたテーマを扱うもの。黙っていることは難しい。

グローバルな通貨システムを修復する

筆者は、各国の中央銀行はまったく新しいグローバル通貨を作り出すのではなく、デジタル通貨の相互運用性の開発に取り組むべきと考えている。

各国の企業がスマートコントラクトを利用して、自動エスクロー契約を結び、為替レートのボラティリティから身を守ることができる分散型の取引システムが必要だ。

いまや取引所を介さないアトミックスワップを実現するアルゴリズムが利用可能になり、チェーンを超えた相互運用性におけるその他の進展もあって、米ドルのような仲介通貨に依存することなく、国際取引から為替リスクを取り除くテクノロジーを手にする日は近いと考えている。

その仕組みは次のようなものだろう。

ロシアの輸入業者は中国の輸出業者と契約を結び、支払い時のルーブルとの為替レートに基づく、中国・人民元での後払いに同意したとする。

民営のステーブルコインであれ、中央銀行が発行するデジタル通貨であれ、それぞれが好むデジタル通貨に共通して組み込まれている相互運用プロトコルに基づいて、両社はその後、分散型エスクローで、必要な人民元の支払いを「トラストレス(信頼する第三者がいない状況)」で確約するスマートコントラクトを締結する。

納入と契約遂行が確認できれば、支払いは中国の輸出業者に向けて実行される。もし、そうではない場合は、お金は最初に約束されたレートでロシアの輸入業者へと戻される。

このシナリオにおいて双方は、不利な為替レートの動きから守られる。しかも、相互間の信頼にギャップがあっても、ドルを介して支払いをやりとりする必要はない。またどちらの企業も、先渡契約やFXオプション、その他の費用のかさむ為替レートヘッジを利用する必要はない。

もちろん、輸入業者の方は数カ月間、大切な運転資金を確保しておくという機会費用を負担することになる。

しかし、通貨ヘッジの現在のコストよりも大幅に安い、民間銀行の担保付き短期ローンを使えば、機会費用は軽減できる。もしくは、スマートコントラクトがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンで実行される場合には、支払いのために確保された資金は仮想通貨のステーキング報酬を獲得することに利用できる。

中央銀行の役割はどうなるだろう?一つ目には、中央銀行は信用モデル全体、ステーキングモデル全体の両方またはどちらか一方を補強できる。流動性や保証を銀行の貿易金融業務に提供することは、米財務省の緊急資金や他のドル資産に適用するよりも、国内のマネーサプライをより建設的に使用することにつながる。

2つ目に、中央銀行は相互運用プロトコルの信用性を保証する責任を負うことができる。中央銀行がテンダーミント(Tendermint)のコスモス(Cosmos)、パリティテクノロジーズ(Parity Technologies)のポルカドット(Polkadot)、リップル(Ripple)のインターレジャー(Interledger)といった民間が開発したプロトコルを承認・規制するとしても、あるいは多国間組織に単一の公式システムを構築・管理するよう委託するとしても、公共部門の政策決定者のための監視役を回避することはできない。

(仮想通貨自由主義者の皆さん、ご心配なく。このシナリオに、あなたのビットコインを取り上げる人はいない。実際、中央銀行は金融システムの中核であり続け、為替レートは変動し続けるため、国内通貨に代わる「デジタルゴールド」としてのビットコインの魅力は高まるだろう)

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最終更新:10/10(木) 17:02
CoinDesk Japan

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