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有力候補不在だった今年のトロント国際映画祭…観客賞は『ジョジョ・ラビット』に!

9/16(月) 22:00配信

Movie Walker

10日間に渡り84か国から集まった250本以上の映画を上映したトロント国際映画祭が現地時間9月15日に閉幕した。観客賞(ピープルズ・チョイス・アワード)はタイカ・ワイティティ監督のFOXサーチライト作品『ジョジョ・ラビット』(2020年1月公開)、次点2位にノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』(今冬Netflixにて配信)、3位はポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』(2020年1月公開)となった。今年はプレミアが行われた途端に人々が話題にするような飛び抜けた作品がなかったが、観客賞を獲得したのは賛否両論を巻き起こしながらも観客に愛された作品だった。

【写真を見る】昨年の『ボヘミアン・ラプソディー』然り大ヒットの可能性!? 観客賞受賞結果一覧

『ジョジョ・ラビット』は、ナチ政権下のドイツでヒトラーユーゲントに入隊する10歳の少年の物語。母親(スカーレット・ヨハンソン)と2人で暮らす少年(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)に父親の影を見ていた。ある日、家の隠し部屋でユダヤ人の少女が暮らしているのを見つける。凝ったビジュアルやコメディ要素を多用するワイティティ監督による風刺作品で、自身がヒトラー役を演じている場面写真のインパクトもすごい。当映画祭でワールドブレミアが行われた後の批評は賛否両論だったが、観客からの支持は熱かった。批評家からは「風刺にしては毒が足りない」といった意見が見られ、ワイティティ監督と題材への期待が裏返しとなっていた。だが、観客賞に選ばれたことで、アカデミー賞への切符を手にしたと言ってもいいだろう。観客vs批評家の分断は、昨年の『ボヘミアン・ラプソディー』が記憶に新しい。批評家からは「史実の再現性に欠ける」「凡庸」と評されていたが、興行収入は全世界で1000億円を超える特大ヒットとなり、アカデミー賞でもラミ・マレックの主演男優賞を含む最多4部門を受賞した。一般も投稿ができる米映画批評サイトが興行成績にも影響を及ぼす昨今、この潮流は今後も続くのではないかと思われる。

すでにトロントを後にしているタイカ・ワイティティ監督は、オフィシャルツイッターで「投票してくれた皆さんに会いたい! 知的で善い人たちなんだろうな」と喜びを表現している。

昨年はトロント映画祭で上映されるまでまったく話題に上らなかった『グリーンブック』(ピーター・ファレリー監督)がトロントの観客賞を受賞してから一気に駆け上がり、同観客賞次点だった『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)との一騎打ちを経てアカデミー賞作品賞、脚本賞、実在するピアニストを演じたマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。過去にトロント映画祭で観客賞を受賞した作品には『スラムドッグ$ミリオネア』(08)、『英国王のスピーチ』(10)、『世界に一つのプレイブック』(12)、『それでも夜は明ける』(13)、『ルーム』(15)、『ラ・ラ・ランド』(16)、『スリー・ビルボード』(17)があり、高確率でアカデミー賞に作品を送り込んでいる。この轍を踏むと、『ジョジョ・ラビット』は10月18日の全米公開で勢いをつけ、賞レースに乗り込んでくるだろう。タイカ・ワイティティの助演男優賞もあるかもしれない。次点2位の『マリッジ・ストーリー』、『パラサイト 半地下の家族』は批評も観客の評判もどちらも良く、昨年次点につけた『ROMA/ローマ』『ビールストリートの恋人たち』(バリー・ジェンキンス監督)同様、なんらかの形でアカデミー賞にも絡んでくるだろう。特に『マリッジ・ストーリー』の主演2人の演技には大きな賞賛が贈られていて、スカーレット・ヨハンソン(『ジョジョ・ラビット』にも出演)、アダム・ドライバーの主演賞、ノア・バームバックの監督賞、脚本賞は固い。また、『パラサイト 半地下の家族』は海外長編賞の韓国代表として選出されている。

(Movie Walker・文/平井伊都子)

最終更新:9/16(月) 22:00
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