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長期テスト アストン マーティン・ヴァンキッシュS(最終回)

9/16(月) 7:50配信

AUTOCAR JAPAN

積算1万2601km 始動時のうるさいブリッピング

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

アストン マーティンDB11にはエンジンスタート時にクワイエット(静か)・モードがあり、早朝にドライブに出発しても、隣人を起こさなくて済む。だが、このヴァンキッシュには付いていないから、かなり元気な声を上げてスタートすることになる。

【写真】ブルーのヴァンキッシュS (83枚)

近年のクルマは、触媒の効率を高めるたなのか、気持ちを高めるためなのか、スタート時に軽くブリッピングをする傾向がある。だが、エグゾーストシステムのフラップまで開く必要はないと思う。フラップが閉じていても、恐らく目立った弊害はないはずだ。

ヴァンキッシュSのフロントに収まるのは、素晴らしい5.9L自然吸気V12。最高出力は600psもあるが、ヴァンキッシュがアップデートされた時にライバル視していた、フェラーリF12の740psには及ばない。その後更に812スーパーファストが登場し、800psという王代を超えてきた。

2019年版の次期ヴァンキッシュには、フォード由来の5.9Lユニットにふたつのターボチャージャーが搭載され、最高出力は700psを超えることになる。6気筒の倍数だからとてもスムーズに回る最高のエンジンで、必要な時は魂をほとばしらせるが、それ以外は充分に静かだ。

兎にも角にも、スポーツカーとラグジュアリーな高速クルーザーとが融合した、少しオールドスクールなところが残る最後のアストン マーティン。愛さずにはいられない。

積算1万3067km 自然吸気V12の最後の輝き

スーパー・グランドツアラーを毎日の足として使用する。この長期テストの目的でもあった。答えは簡単。素晴らしい。しっかりグランドツアラーしているが、多くのライバルモデルはアストン マーティン・ヴァンキッシュSのように振る舞うことは難しい。たとえアストン マーティンDB11であっても。それがヴァンキッシュSが生まれた理由でもある。

最高出力は600psに増強され、パワーデリバリーはやや鋭くなり、ノイズもにぎやかになった。大排気量の自然吸気V型12気筒エンジンは絶滅危惧種といえるユニットだが、ヴァンキッシュSはその存在価値を改めて見直させてくれた。

600psは充分なパワーだが、自然吸気エンジンだから、そのパワーを引き出すにはしっかり回してやる必要がある。わたしには好きな作業だ。中回転域まで回せば充分に活発な走りを体験させてくれるが、より熱くなるには低いギアを選んでいく必要がある。構うことはない。

ZF社製の8速ATは、前後重量配分の改善のためにトランスアクスル・レイアウト。これまでと変わらない内容なものの、プロペラシャフトのカップリングは強固なものに変更してある。おかげでトルクコンバーターの滑らかな動きを保ちつつ、ロックアップも素早く、剛性感のある走りになっている。これまでデュアルクラッチATが欲しいと思うこともなかった。

恐らく読者も、仮に1万キロ以上を走ったとしても、ATが安楽だからといって、今以上を欲することはないだろう。わたしはこれまで何人かのヴァンキッシュのオーナーと話す機会があったが、想像以上に長い時間をクルマと一緒に楽しんでいるという。

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最終更新:9/16(月) 7:50
AUTOCAR JAPAN

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