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中国独自の衛星測位システム「北斗」構築、米国を意識?

9/16(月) 19:30配信

東方新報

【東方新報】位置情報を知らせる信号を送信する測位衛星といえば、米国の全地球測位システム(GPS)を思い浮かべる人が多いだろうが、今や中国独自の衛星測位システム「北斗(Beidou)」が衛星の稼働基数で世界一となっている。米国に依存しない宇宙のインフラ網の構築は、位置データビジネスで主導権を握り、軍事面でも米国と対抗できることを意味する。宇宙での競争は、地上の経済・軍事における覇権争いに直結している。

【写真】北斗3号の測位システム

 測位システムは米国のGPSが先行し、ロシアの「グロナス(GLONASS)」、欧州連合(EU)の「ガリレオ(Galileo)」、中国の北斗が世界で展開している。中国は2000年に最初の試験衛星を打ち上げ、今の稼働数は39基。GPSの31基、グロナスの24基、ガリレオの22基を上回っている。

 中国は自らが主導する広域経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」参加国に北斗の利用を促しており、アジア・アフリカ諸国の多くで、1日の最大観測数でGPSを上回るようになった。観測数が多いほどデータの精度も高くなる。

 位置データは、スマートフォンや車載機器のナビゲーションシステム、利用者の位置が関係するゲームや安否確認など幅広いビジネスにかかわる。製品を北斗に対応させる企業が世界で増えており、北斗が世界の「標準」となれば中国の産業競争力を高められる。中国政府とロシア政府は最近、北斗とグロナスを互いに平和利用し、共同プロジェクトを展開していくことも決めた。

 米国のGPSと同様、北斗は当初、軍事目的で開発された。測位衛星は、ミサイルの誘導や陸海空軍の位置把握のために今も利用されている。GPSは特定の衛星に誤差ノイズを与え、特定地域で測位が行えなくする機能があるので、例えば中国の船舶がいる海域に向けたGPSを無効化すれば、船舶は立ち往生することになる。しかし、北斗が構築されれば、GPSのジャミングの影響も受けなくなり、安全保障上の弱点を補うことができる。

 中国は北斗を2020年に完成させるとしていたが、計画を前倒しして実質的には既に全世界で測位する運用を始めている。米国との間で経済対立が続いており、GPSに頼らない独自システムの構築を急いだとの要素もあるようだ。

 ロマンチックに見える宇宙の世界は、あわただしい地上の情勢と連動している。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:9/16(月) 19:30
東方新報

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