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家紋キャラ化で話題「家紋無双」、初開催のフェスにカモン! 仕掛け人が語る熱い思いとは

9/16(月) 14:50配信

まいどなニュース

 火炎に包まれた力強い猛者や、ピンクの衣装に身を包む、けなげな女性-。まるでアニメやゲームのキャラクターのような姿の正体は、家紋だった。日本で古来伝わる家紋を、擬人化したイラストで紹介したことで話題を呼んだ本「家紋無双」。そのキャラたちが、秋の京都で初開催される「家紋フェス」に集結する。家紋の新たな可能性を探る企画展のほか、歴史や図柄に込められた先人の思いを知る企画も盛りだくさんの1日。ここはあえてベタに言おう。「家紋フェス」にカモン!

【写真】思わず見入ってしまう美しさ…生き物をかたどった、さまざまな家紋

 「正直に言えば、キャラ化にはめちゃめちゃ抵抗がありました」。「家紋無双」(知楽社)の著者で家紋研究家の森本勇矢さん(42)=京都市上京区=は、出版社から企画を持ちかけられた時の心境を振り返る。家紋には子孫繁栄や武運長久など、祖先のさまざまな思いが詰まっている。「家紋を大切に守ってきた家から『言語道断』と反発があるだろうと思いました」

 一方で、家紋になじみが薄い若者にその素晴らしさをどう伝えればよいか、考えあぐねていたのも事実だった。企画した出版社「知楽社」(奈良県)が20~30代の100人を対象に調査したところ、「自分の家紋を知っている」のはわずか7%。8割が「知らない」という結果だった。

 「若者にもっと受け入れられるには『鳥獣戯画』や『百鬼夜行絵巻』から今に至るまで用いられ続ける表現手法の擬人化が効果的かもしれない」。森本さんは企画に乗ることを決めた。

 82種類の家紋を取り上げた。「十大紋」「自然紋」「植物紋」「動物紋」など6章立てで、約5万種から特に使用している家が多いものを選んだ。キャラクターは、特性が分かりやすいように家紋の形を意識した衣装や容姿にしたイメージを森本さんがイラストレーターに伝え、完成させた。

 例えば祇園社(八坂神社)の祭神とされる牛頭天王を表す「窠(か)紋・木瓜(もっこう)紋」は炎に包まれた力強い男性像を描き、「櫻(さくら)紋」はピンクの髪と衣装の、はかなげな女性像に仕上げた。キャラクターごとに代表紋と派生紋の意匠も紹介し、森本さんの解説文を載せた。

 昨年夏に発売するとSNSなどで話題を呼び、1カ月で重版が決まった。「世界でも高く評価されている日本の家紋文化を見つめ直してもらういい機会になった」と手応えを得た。

 そんな森本さんにとって、より幅広い層に家紋の素晴らしさを伝える「家紋フェス」は数年来の夢だったという。

 西陣で着物を修復する家で育った森本さんは20年ほど前、父の影響で家紋に興味を抱くようになった。小さな枠内で表現された意匠の多彩さに引かれ、はまった。「草木や動物、道具などを紋に凝縮し、完璧なまでに完成されたもの」。家紋の魅力をそう表現する。

 家紋の起源は平安時代。貴族が牛車や調度品に好みの文様を付けたことが始まりだそうで、江戸時代に着物の柄として広まった。「歌舞伎役者や大相撲の力士、落語家が手ぬぐいに自身の紋を入れて名刺代わりにもしたことで、庶民もおしゃれ感覚でまねるようになった。かしこまったものではなく、バラエティーに富んだ紋が増えた」

 家紋というと一部の限られた家だけが持つ「セレブ」の独占物のように思われがちだが、違うようだ。その形も実に多様で、専門家の間でもまだまだ知られていない文様があるという。森本さんは、府内の墓地を巡って墓石に刻まれた家紋の数々を調査する中で、従来の家紋辞典にはない文様を多数発見。その成果を2013年に「日本の家紋大事典」(日本実業出版社)としてまとめた。「講演や出版の活動を通して出会った仲間たちと実行委員会を立ち上げることができ、ここまでこぎつけた」

 「家紋フェス」は11月10日に、京都府庁(京都市上京区)の旧本館と旧議場を会場に開かれる。「家紋無双」のキャラのイラスト展示や、家紋アート作品とグッズの展示も予定する。

 このほか、家紋の成り立ちを紹介する森本さんの講演やシンポジウム、家族に親しんでもらうために家紋の缶バッジ作りや塗り絵体験なども準備する。この催しを開くため、クラウドファンディングで支援を今月25日まで募集している。

 「家紋発祥の地とも言える京都で、家紋の新たな時代の幕開けになるような場にしたい」。令和には家紋ブームが到来するかも。

(まいどなニュース/京都新聞社・樺山 聡)

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最終更新:9/16(月) 14:54
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