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「自分の枠を自分で決めない」 サニーデイ曽我部、初出演した映画と今後の活動を語る

9/16(月) 17:10配信

まいどなニュース

1990年代から活動するバンド「サニーデイ・サービス」のボーカル/ギター、曽我部恵一が初めて俳優として出演した映画「アイムクレイジー」(工藤将亮監督)が、劇場公開されている。曽我部は主人公佑樹(古舘佑太郎)のバイト先の店長役で、工藤監督が最初から曽我部をイメージして台本を書いていたというキャラクターだ。音楽フェスの出演と舞台挨拶で大阪を訪れていた曽我部に、初めて映画で演技をした感想や、今後の音楽活動などについて聞いた。

【写真】映画「アイムクレイジー」はこんな雰囲気

ーまず、俳優としてのオファーが来たときはどう思いましたか?

「『へえ』って思いました。自分にそんな需要があるのかな、と」

ー映画に出ることに対して、躊躇いや戸惑いはありませんでしたか?

「全然ないです。まあどうせメインの役じゃないでしょうし、『あ、いいですよー』って」

ー撮影は2年ほど前ですね。工藤監督はサニーデイの「クリスマス」(2017年)という曲のミュージックビデオ(MV)も撮っていますが、順番は映画が先ですか。

「そうです」

ー工藤監督にMVを依頼したのは、一緒に映画を作る中で何か感じるものがあったのでしょうか。

「そうですね、工藤さんは映画のことにすごく詳しくて、好きな映画も自分と共通点がたくさんあったので、ぜひ撮ってもらいたいなと思ってお願いしました。シンプルに、一緒に仕事をした縁を次に繋げていけたらいいなという思いもありました」

ー「アイムクレイジー」は、世の中に嫌気が差した若いミュージシャンが主人公の物語です。曽我部さんは「若々しい映画」だとコメントされていました。

「第一印象は“まっすぐ”。本当に真面目な、情熱的な映画という印象です。仕事で撮ったとかではなくて、工藤さんが自分の全てを一本の映画にぶち込んだという感じがいいなあと思いました」

ー曽我部さんの出演シーンは、下北沢でご自身が営んでいるカフェバー/レコードストアの「CITY COUNTRY CITY」で撮影されていますね。

「はい。知っている場所なんで、逆に落ち着いて演技できました」

ー特に演技をしてるなという感じもなかったですが。

「え、本当ですか。いや、演技してる感じですね。監督も演出をがっつりやってくれたので。普段の僕のままだと、もっと愛想がなくて、淡々としていますよ。あの役は物分かりのいい優しい大人って感じ。そういう部分は、普段の僕にはそんなにないです」

ー若手のメンターって感じの佇まいが印象的でした。

「この映画ではね。普段、そういう意識は全然ないです」

ー実際にご自分の演技を見ていかがでしたか?

「正直言うと、本当に見てらんない(笑)。でも、あれで勉強になりました。実はその直後にもう1本出演オファーがあって、短編映画に出たんですよ。そちらに関しては、『アイムクレイジー』で1回経験した後なので、自分なりに恥ずかしくない演技ができたと思います」

ーその短編の後、他にもオファーはあるんですか?

「今年6月に劇団ロロの舞台に出ました。先日公開された川本真琴と峯田和伸の『新しい友達Ⅱ』のMVにも出てます。お芝居するの、すっごい楽しいですよ」

ー「アイムクレイジー」まではそういう依頼は全然なかった?

「1回もなかったです。僕がお芝居をやるなんて誰も思っていなかったでしょうし、そもそも自分でも思っていなかったですから」

「僕は音楽を生業としていますが、どんな仕事も、依頼されればできる限りやってみたいと思っています。一生のうち、どれくらい仕事ができるかわかんないのに、音楽という枠だけにとどめておくのはもったいない。可能性があるんだったら、何でもやりたいですね。無責任な考え方かもしれないけど」

ー曽我部さんは今回の映画出演に限らず、音楽の定額ストリーミングサービスをいち早く取り入れたり、昨年はバンドのイメージとは全然違うラップのソロアルバムを出したりと、何事にも非常に柔軟なスタイルで向き合っていますね。

「自由にできること、自由であることが大事だと思っています。『こういうことをやっていたら自分らしく見えるだろう』と自分で枠を決めない。自分が想像もしなかったようなところに、大きな可能性があるかもしれない。あまりこだわらず、限界も決めず、のびのびやっていたいですね」

ーそういう考え方ができるようになったのはいつ頃からですか。

「30代ぐらいからですね。1回バンド(サニーデイ)をやめた時期があって。『バンドマンの自分』ではなくなり、じゃあ自分って何なんだろうってなったときに、そもそも会社勤めもしたことがないような人間なのだから、ドロップアウトした自由人として好きなように生きようと決めました。それが30代の初め頃ですね」

ー今年で48歳。年齢的な面で、そういう生き方にしんどさを感じることはないですか?

「疲れたなあ、というのはそんなにないかな。新しいことばっかりなんで、飽きるってことはないですよね。毎日のようにライブが続くので、体力的なしんどさはもちろんあるけど、最近はそれもまた楽しいなと思っています」

ーサニーデイとしては、昨年、ドラムの丸山晴茂さんが亡くなるという大きな出来事がありました。

「それもあって今年はバンドはお休みなんだけど、その間、個人の活動を続けています。あとは、サニーデイの復活に向けて、本当に気合い入れて曲を作らなきゃなと思って、ずっとそれをやっていました。来年は絶対、サニーデイのアルバムを出して、全国ツアーをしたいと思っています。今、アルバムも8割くらいできています」

ーそれは楽しみです。一方で、実験的な要素も強いここ最近の作品が、古くからのサニーデイのファンに届いていない気がする、と、あるインタビューで仰っていました。

「僕は、それでいいと思っています。サニーデイのファンの人に『ちゃんと聴いて』って気持ちもないです。それをやっちゃうと、つまんなくなる。自分が好きなことをやって、もし気に入ってくれる人がいるなら嬉しいな、という感じです」

ー最後に改めて「アイムクレイジー」について。どういう人に届いてほしいですか?

「これは本当にひとつだけ。なにかやりたいけどできない、うまくいかない、夢があるけどそれに到達できていない、そういう人たち全てに、です。子育て、仕事、若い、年を取っている、とかは全然関係なく、そういう人たちのための映画だと思います」

ーオファーがあればまたお芝居の仕事も?

「もちろん、もちろん!なんでもやりますよ」

「アイムクレイジー」は、関西ではシネマート心斎橋(大阪)、京都シネマ(京都シネマ)で公開中。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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最終更新:9/16(月) 17:12
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