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畑岡奈紗と元世界1位2人の共通点 フィニッシュを見れば安定感が分かる【辻にぃ見聞】

9/17(火) 7:55配信

ゴルフ情報ALBA.Net

最終日には1万3000人を超えるギャラリーが集まった国内女子メジャー第2戦「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」は畑岡奈紗の優勝で幕を閉じた。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が感じた畑岡の強さは修正能力にあった。

優勝直後のANAインスピレーションで撮影した畑岡奈紗のドライバーショット【連続写真】

■1カ月前とは見違えるスイングに 一番の修正ポイントはトップポジション
総距離6425ヤードと、女子プロナンバーワンを決める公式戦としては異例の短さ。一方で「長いところでは300mmくらいある」という長さのラフというセッティングで行われた今大会。上位には三ヶ島かな、青木瀬令奈といったフェアウェイキープ率の高い選手が目立った。一方で飛ばし屋たちは苦戦する傾向にあったともいえる。

そんななか、4日間のドライビングディスタンスが1位の畑岡が優勝。改めて畑岡の総合力の高さには驚くばかりだ。ちなみに大会9位に入ったインビー・パーク(韓国)は決勝進出者では4日間のドライビングディスタンスは一番下でだった。

辻村氏が畑岡を見て驚いたのはスイング。8月上旬に行われた海外女子メジャー最終戦「全英AIG女子オープン」で見たものとは、まったく変わっていたからだ。変わったのは2か所。トップの位置とインパクトからフィニッシュにかけての下半身。

「全英のときは正直良くなかったように感じました。その後、一度見直すために、試合に出場せず日本に戻って2週間フォームチェックしたことがすごく生きていると思います」。畑岡がスイングチェックでまず見るのがトップの位置だと続ける。「悪くなると手が上がらなくなって低い位置になる。そうなるとダウンスイングの入り方がバラバラになる、タイミングが合わなくなります」。これが1カ月後に見違えていた。「トップがピタッといい位置で決まっていました。クラブ、体が一体となって止まる。どちらかが止まっているのにどちらかが動いているということがない。さすがの修正力だなと思いました」。

トップの位置が下がってくる悪癖。長いシーズン戦っていれば仕方のないことだという。「野球のピッチャーも多くの球数を投げているとヒジが下がりますよね。ゴルファーも疲労が溜まってくればどうしても出てきてしまうものです」。重要なのはここから。クセが分かったときの直し方だ。

「ピッチャーのヒジが下がるのは“下半身が疲れてくると、軸足の粘りがなくなり、すぐに打者方向へ上体が向かうためにヒジの内旋動作とのタイミングが合わなくなる”と聞きましたが、ゴルファーも同じこと。ヒジだけが高ければいいわけじゃなく、原因は他のところにある。体全体の動きのなかで正しい位置でトップが作れるようにしないとダメ。体がどうやって手をどこのポジションに上げてくれるか。動作の中の1カットだけが正しいポジションではダメなんです」

■畑岡奈紗と元世界1位2人の共通点 それは目線の低さ
辻村氏が見たもう1カ所の改善点は、インパクトからフィニッシュにかけての下半身。元々畑岡はアマチュアとして「日本女子オープン」を優勝した2016年ごろからジャスティン・トーマス(米国)のようにスイング中にジャンプするような動作を入れて地面反力を使って飛ばしていた。だが、年々飛び跳ねる動作はなくなりつつある。

今大会の優勝会見でも畑岡自身、「ジャンプすることは悪いことじゃないと思いますが、やりすぎると安定しないので下半身のトレーニングは欠かせないなと思います。自分の感覚だと上半身に力が入っているとボールに力が入らない。常に下半身リードでやるように心がけています」と抑えめにやっていると語っていた。辻村氏も同じように感じていたという。

「アイアンが散っているときほど、ジャンプが大きかったように見えました。明らかに昔よりも良くなったのは重心の安定。今はフォン・シャンシャン選手のように、インパクトからフィニッシュにかけて沈み込むくらい低い位置をキープしている。地面反力は必要ですが、体が浮いてしまえば元も子もない。今は目線がスイング中にまったく変わらない。低い位置でクラブを体に巻き付けてくるようにしています。だから、ショットが安定しています」

トップの位置と低い位置での安定。この2つには大きな因果関係がある。「トップが低くなればクラブは寝てしまいます。またボールに対して下から入ってくるから詰まる。詰まれば体を浮かさないと打てない、そうなればジャンプしないといけなくなる。この悪循環なんです。トップで高い位置をキープできていれば力は下に向かう動きになる」。

低い位置で安定していること。これは畑岡だけでなく、今回アジア枠として出場したインビー、シャンシャンという2人の元世界ランク1位とも共通する部分だ。

「3人に共通しているのは上体が浮かないこと。打ち終わった姿勢が低い。当然下半身を使って地面反力を使うことが飛ぶには必要ですが、3人とも打点が命。インパクトがまったくブレません。もし重心が高い位置であれば、フィニッシュでふらつきます。低い位置だからピタッと決まる」。渋野も今大会では「体が浮いてしまう」と苦しんでいたが、調子がいいときは重心が低いままキープできている。

優勝会見で畑岡は「シーズンは長いので、一度休みを入れてトレーニングするということもかなり大事だと思いました。いい休みと、いいトレーニングができて良かった」と話していたが、辻村氏も短い期間でこの2点をしっかりと修正できる能力こそ畑岡の強さだと語る。

「自分のクセが分かっていて、どう修正したらいいかも知っている。頭がいいとはこういうことをいうのでしょう。なんせチェックポイントが、あれこれやらずにシンプルです。ゴルフも同じようにシンプル。これはインビー、シャンシャンの両選手にもいえること。チェックポイントを絞って、狙ったところに打つだけ。難しく考えれば考えるほど難しくなるのがゴルフですから」

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:鈴木祥)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:9/17(火) 7:55
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