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「持ちこたえられない」日韓関係悪化で悲痛 上対馬 事業断念や業態変更も

9/17(火) 10:19配信

長崎新聞

 日韓関係が悪化している中、日本で韓国から最も近い玄関口となっている対馬市北部の上対馬町では、韓国人観光客の激減を受け、新規事業断念や業態変更を検討する事業者が出ている。観光関連業者からは「短くても2年は韓国人客の減少が続くだろう。とても持ちこたえられない」と悲痛な声も上がる。
 対馬観光物産協会上対馬支部などによると、対馬市を訪れた韓国人観光客は昨年約41万人と過去最多を記録。上対馬町の比田勝港からの入国が76%を占め、1日だけで約2千人が島内観光へ繰り出す日もあった。しかし、日本政府が対韓輸出の管理強化を行った7月以降、韓国人観光客は激減。9月に入ってからは1日50人に満たない日もあったという。
 同町で今月、韓国人を主なターゲットにした観光牧場を開く予定だった在日コリアン2世の金本常雄さん(71)=京都市出身=は開業を断念した。先月末からソウルや釜山の旅行代理店を訪れ、コンビニやユニクロでの日本製品不買運動も観察した結論として「(韓国大統領で任期満了が2022年の)文在寅(ムンジェイン)政権が続く間は、現在の反日政策が続くと判断した。人件費や馬のえさ代をまかなえない」と話した。
 金本さんは、釜山-比田勝間で日韓の船会社参入が相次いだ11年に初めて対馬を訪れ、翌年、韓国人客の増加を確信して上対馬町内に民宿を開業。「上対馬には体験観光メニューが少なく、観光客に素通りされている」と考え、民宿などで蓄えた資金を投じて厩舎(きゅうしゃ)などを整備。3頭の馬を購入していた。観光牧場に先んじて18年4月から始めた観光馬車事業も、今月限りで撤退する。
 先週から解体作業が始まった厩舎で、金本さんは本土の乗馬クラブなどに譲渡する愛馬をなで「6月までは韓国人観光客も増えており、今年は50万人はいくと考えていた。天災に遭ったようなもので、何より馬と別れるのがつらい」とつぶやいた。
 同町内で韓国人観光客向け食堂を経営している中村和徳さん(50)=同町出身=は、日本人客を主な対象にした業種への変更を検討しているが、国内誘客による経済効果については懐疑的だ。中村さんは「博多-比田勝間のフェリーや高速船が全便満員で運航したとしても、比田勝港で降りるのは年間8万人にも満たない」と指摘。「上対馬は地理的に韓国からの誘客なしに成り立たない。国県市には国境の島、対馬で島民が暮らし続けていくための具体的な支援策を検討してほしい」と訴えている。

最終更新:9/17(火) 11:57
長崎新聞

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