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被災地襲う非情の雨 不安な日々「もう限界」 台風15号ルポ 安房地域を歩く

9/17(火) 11:35配信

千葉日報オンライン

 今なお広範囲で停電や断水が続く安房地域に16日、大雨が降りしきった。非情の雨だ。水浸しになった住宅は数多く、「これ以上はもう限界」と嘆く住民も。住民の不安は募るばかりだが、一方で、被災地には若い世代を中心にボランティアが続々と集まり、一歩一歩、復興の足音も聞こえてきた。台風15号から1週間。記者が現場を歩いた。

 (館山・鴨川支局 飽本瑛大、勝浦支局 廣田和広)

 屋根にブルーシートをかぶせた家が数多く並ぶ安房地域を再び襲った豪雨。南房総市内ではどしゃ降りの中、屋根の修復作業や倒壊した電柱の撤去作業に汗を流す人々の姿があった。

 「家が小刻みにギシギシと揺れ、まずいなあと。屋根があるだけ助かった」。今回の台風で大きな被害を受けた鋸南町岩井袋で長年暮らしている小川昇さん(64)は、台風が通過した日の悪夢が脳裏から消えない。

 小川さんは台風15号で自宅が大きな被害を受けた。9日午前2時ごろから経験したことのない暴風が家を襲い、半分ほどの瓦が一瞬にして吹き飛んだ。雨漏りも発生し、かつて父親が使っていた6畳の居間の畳はすべて使えなくなった。

 同地区では停電に加え、通信障害も長引き、情報が手に入らない日々が続いた。家に明かりがともったのは5日後の朝。「ほっとした」。そう思った矢先、再び豪雨に襲われた。

 屋根をブルーシートで覆ったものの、家は雨漏り。「しょうがない。他の家はもっとひどいから」。小川さんは気丈に振る舞うが悩み事は尽きない。「天気予報だと来週も天気が悪いらしい」。今度台風が来たら家を諦めて出ていくことも考えている。

 台風被害がとりわけ大きかった同地区。六原武さん(75)は台風で自宅の屋根瓦が飛ばされ、壁に穴が開き、天井から水が入って室内がびしょ濡れになった。

 16日の大雨予報を受け、親戚やボランティアがブルーシートを張ってくれたおかげで、室内の浸水は免れた。屋根の修理は頼んであるが、なかなか来てくれない。

 過去の台風でこれほどの被害を受けたことはなかった。「地球がおかしくなっている」。疲れ切った様子で話した。

 停電は少しずつ解消されてきた。それでも、いまだに信号機すらつかない地域も数多い。

 南房総市富浦町の栄養士、岡本恵津子さん(63)の自宅は14日に電気が復旧した。だが、「まだ電気が来ていない家の住民からは『もう限界』という声も出ている」と明かす。

 不安な日々を支えているのは地域の「共助」の輪だ。

 高齢化が進む同町岩井袋には15日から16日にかけて、30~40代の若い住民や学生ボランティアらが続々と集まってきた。

 協力して家の片付けや飛散したがれきの収集などに当たっている。小川さんは「まだこの地区も捨てたものじゃない。ボランティアの人たちには感謝の気持ちでいっぱい」と苦しい中で笑顔を見せた。

最終更新:9/17(火) 11:35
千葉日報オンライン

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