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「当事者」以外、苦しみを語ってはいけないのか?福島の地域活動家は問いかける

9/17(火) 17:17配信

ハフポスト日本版

東日本大震災から8年半。被災地の復興にまじめな議論は必要不可欠だが、それだけでは分断を生む。福島県いわき市で活動する小松理虔さんは、当事者ではないが無関心でもない「共事者」こそ、課題解決の糸口になると話す。

「あなたは東日本大震災で起きた福島第一原発事故の当事者ですか?」

福島県でローカルアクティビストとして活躍する小松理虔(こまつ・りけん)さんの講演はこんな一言で始まった。7月末、東京・六本木で開かれたイベントでのことだ。

思いも寄らない言葉にドキリとする。

約30人の参加者で手を挙げた人はほとんどおらず、皆首をかしげた。

自分はその問題の「当事者」ではないから、と目を背けてしまった経験はないだろうか。

「当事者でもないのに口出しをするな」――。

昨今、SNSで個人の意見が簡単に発信できるようになったからこそ、炎上を恐れて「下手なことを言えない」といった空気ができあがっている気がする。

こうした状況に危機感を示すのが小松さんだ。

出身地である福島県いわき市を中心に、様々な社会課題に携わっている。

自身の経験を基にローカル発の新しい復興の形を問うた著書「新復興論」(ゲンロン叢書)では、「第18回大佛次郎論壇賞」を受賞した。

「よそ者」として、関わる。

小松さんの肩書は「ローカルアクティビスト」だが、その実態は本人もよく分かっていない。

物書きもする、広告も作る、イベントを企画することもある。

ただ福島県いわき市という「ローカル」で活動しているので、「ローカルアクティビスト」と自分で命名しただけだ。

小松さんが活動をする上で一つだけ気を付けていることは、

「ローカルな課題に関わる際、中にどっぷり浸からず、軸足は外側に置いておく」こと。

「当事者」ではなく「よそ者」として関わることだという。

例えば、小松さんはいわき市の海で「いわき海洋調べ隊うみラボ」という活動をしている。

市民の有志と参加希望者を募り、福島第一原子力発電所1.5km沖で釣りをして魚の放射線量を測る、「福島の海を楽しく、そして面白く調べ、発信」するプロジェクトだ。

一見、小松さんは震災復興の「当事者」だ。

しかし、放射線の専門家でもなく、漁師でもない。放射線を測ることに、小松さんは何も金銭的メリットは発生しない。

小松さんは自分を「当事者」とは敢えて名乗らない。

「(いわき市出身で)第一原発の事故で人生翻弄された一人なので、近くに行ってみたい、本当に魚が釣れるのか知りたい(という個人的な興味があった)。だから行っただけ。復興のためとか漁業のためではなく、僕個人が行ってみたくてやっているだけなんです」

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最終更新:9/17(火) 17:17
ハフポスト日本版

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