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[コラム]チョ・グク事態、世代ではなく階級が問題だ

9/17(火) 9:39配信

ハンギョレ新聞

 チョ・グク法務部長官事態で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と共に民主党は傷を負った。国政遂行に対する評価と党の支持率に大きな変化はない。危機を感じた支持層が結集したおかげだ。しかし、支持層も心に大きな傷を負った。

 長官の任命で事態が終結したわけでもない。検察は家宅捜索と起訴が不当ではなかったことを立証するために必死だ。政治がそうであるように、捜査も生き物だ。また何が飛び出してくるか分からない。検察が成功すれば、政権が打撃を受ける。失敗すれば、検察が致命傷を負う。危険な対峙だ。

 乱世には饒舌がはびこる。いわゆる保守はチョ・グク事態を機に、政治情勢を「朴槿恵(パク・クネ)弾劾」以前に戻すために全力を尽くしている。最も強力な扇動は世代間対立を煽ることだ。チョ・グク長官を「運動圏(社会変革運動をする人々の総称)出身の386(60年代生まれで80年代に運動に参加していた世代)」の象徴に仕立て上げ、その下の世代を「386世代」と分離しようとする試みだ。

 いわゆる保守の世代間対立論は魅力的だ。人類は、自分と共同体の問題を常に別の世代のせいにしてきた。「最近の若いやつ」が問題だった。「老いたら死ななければならない」という言葉は通じた。「上下の間に挟まれた私たちが一番不幸な世代」だと思った。そうだろうか?そうではない。

 1960年代生まれが既得権勢力に見えるのは、彼らが今50代だからだ。どの社会であれ、50代が主導している。1960年代生まれは他の世代に比べて人口も多い。ここ20年の間、386世代が政界を牛耳ってきたという批判がある。それは386政治家たちの問題であり386世代の問題ではない。

 チョ・グク長官は386の代表ではない。 彼は「南韓社会主義労働者同盟(社労盟)」だった。社労盟は一種の「左派盲動主義」だった。大きな組織でもなかった。国家安全企画部(現在の国家情報院)が怪物のように誇張したにすぎない。

 386世代の代表的な政治家は共に民主党のイ・イニョン、ウ・サンホ、キム・ヨンチュン議員、イム・ジョンソク元議員など他の人たちだ。運動圏出身の386世代の子どもには、チョ・グク長官の場合とは違って、上流層への加入に失敗したケースの方がはるかに多い。

 チョ・グク事態の本質は「世代」ではなく「階級」だ。改革と正義と進歩を叫んだ彼の人生が、実は他の「江南(カンナム)の上流階級」とあまり変わらなかったことを知った中流階級と庶民の裏切られたという気持ちと喪失感が核だ。だからといって、チョ・グク教授が叫んだ改革と正義と進歩が無価値なものになりはしない。

 チョ・グク事態で自由韓国党の議員たちは1人デモをやり、剃髪し、署名運動を行っている。それなのに党の支持率は上がらない。なぜか。有権者たちはファン・ギョアン代表やナ・ギョンウォン院内代表などの党指導部を「江南の上流階級」と認識しているためだ。実際、彼らが改革と正義と進歩を叫んだことはない。

 しかし、既得権勢力は、「すり替え」の達人だ。階級の問題を常に別の争点にすり替えてきた。朴正熙(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)時代には階級矛盾を打破しようとする人々を「アカ」と決めつけた。金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)政権時代には「地域」を全面に掲げた。慶尚道の庶民の貧しさの原因が全羅道にあるかのように扇動した。

 既得権勢力が「世代」を持ち出したのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時だった。盧武鉉大統領を取り巻く運動圏出身の386たちが国を駄目にすると大声でわめきたてた。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)大統領の10年を経た文在寅政権の時代にも同じ主張をしている。チョ・グク事態で世代対立論の棲息環境が良くなったと見ているようだ。

 最近、20代の間では男女間の「ジェンダー対立」が始まっている。既得権勢力は遠からず、20代の男性たちの不利益は女性のせいだと扇動するだろう。賭けてもいい。

 どのように解決していけばよいだろうか。チョ・グクはチョ・グクなりに、チョ・グク事態はチョ・グク事態として解決すべきだ。チョ・グク長官は検察の捜査を見守り、進退を決めればいい。

 チョ・グク事態の解決ははるかに難しい。階層間の格差が次第に広がりつつあるのに、階層間を移動するためのはしごはほとんど折れつつあるというのが最大の問題だ。

 公正の価値は大学入試制度を変えるというレベルでは絶対に解決されない。結局、ソウルの一流大学出身と地方大学出身者が就職と年俸で大きく差別されない世の中を作らなければならない。大企業と中小企業、正規職と非正規職の賃金格差を縮めなければならない。

 文在寅政権の5年間でできることではない。数十年にわたって少しずつ着実に推し進めるべき重大な課題だ。息長く取り組んでいかねばならない。

政治チーム ソン・ハニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:9/17(火) 9:39
ハンギョレ新聞

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