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【レスリング世界選手権】東京五輪代表1号・文田健一郎の“神秘の肉体”

9/18(水) 11:01配信

東スポWeb

【カザフスタン・ヌルスルタン16日発】東京五輪決定だ! レスリングの世界選手権3日目、男子グレコローマン60キロ級準決勝で文田健一郎(23=ミキハウス)がアリレザ・ネジャチ(イラン)をテクニカルフォールで下し、17日の決勝に進出。銀メダル以上を確定させ、2020年東京五輪代表に決まった。メダル量産が期待されるレスリングで日本勢第1号の五輪代表となったが、普段は笑顔を絶やさず誰からも好かれる好青年。ニコニコ顔からは見えてこない、格闘家らしい「真の素顔」とは――。

 文句なしの強さで決勝進出を決め、悲願の東京五輪切符をつかみ取った。「あの舞台に立つのは特別な人なんだなと思う時もあって。自分にはその資格や才能がないのかな、そういう星には生まれていないのかなと思う時もあった。でも腐らないでよかったです」(文田)

 2012年ロンドン五輪で米満達弘氏(33)のフリー66キロ級金メダルを、16年リオ五輪では太田忍(25=ALSOK)のグレコ59キロ級銀メダルを、ともに現地でその目に焼きつけた。「次は自分が」という中でケガや敗戦で苦しんだ日々を思い、涙がこみ上げた。

 56年ぶりの東京五輪開催が決まった瞬間を、今でもハッキリ覚えている。13年9月8日早朝。日体大AO入試に備え都内のホテルに泊まっていた。「早朝に目を覚まし、ずっとライブでテレビを見ていました。決まった瞬間、太田雄貴さん(日本フェンシング協会会長)が泣いているのを見て、鳥肌が立ちました。これから大学に行くって気持ちと東京五輪がバーンと重なって。もうやるしかない!って思いましたね」。面接官に「今日、東京五輪が決まりましたが、どんな気持ちか?」と質問され、文田は「自分の目標がより明確になりました」と即答。東京五輪出場もその場で宣言していたという。あれから6年、面接での「出場宣言」が現実のものとなったのだ。

 準決勝では得意のそり投げを警戒されたが、ローリングできっちり得点を重ねて圧倒した。グレコローマンは豪快な投げ技や、筋肉と筋肉がぶつかり合う力相撲が醍醐味。競技の無骨さに似合わず、普段の文田はいつも笑顔を絶やすことなく、誰に対しても物腰柔らかな好青年だ。何よりも猫が大好きで、猫カフェが癒やし。“にゃんこローマンレスラー”とも呼ばれている。アイドルの橋本環奈(20)の大ファンという一面もある。

 しかし、そこは格闘家。単なる“良い子ちゃん”で世界のトップに立てるはずがない。かつて本紙に自身の素顔をこう明かしていた。「あまり本心を見せないほうかも。よく『裏があるよな』と言われます(笑い)。自分では裏があるつもりはないんですが、友人にも『絶対、こいつは性格が悪いヤツだと思っていた』と言われたりします」

 ただし、これは秘めた信念を押し通す「芯の強さ」と言い換えることができる。「(笑顔の自分も)本当なんですけど、けっこう何を言われても『ハイ』っていうんですが、内心ちょっと反抗してたり。何を言われても、自分が大事にしている考え方は変えません」。特に大事にしている考え方がある。「自分は敵ではない、自分を信じる」。自分を強く持ち、激戦を勝ち抜いてきた。

 数値には表れない身体能力の高さも強さを支えている。体力テストでは不思議とどの項目も高い数値は出ないという。ただ、背中の柔軟性には定評がある。高校時代に父・敏郎さんに見せられたグレコの五輪名場面集ビデオに魅了され、意識して柔らかい背中をつくってきた。ブリッジの高さは人並み外れており、大きな武器となった。

 17年大会の59キロ級以来となる2度目の世界選手権制覇も目の前だ。「昨日、(太田)忍先輩が優勝するところをテレビで見て、1番は違うなと思った。積極的に攻めてもう1回世界一を勝ち取りたい。1番高いところから見る表彰台をもう1回見たい」。取材を終えるとスキップしながら練習場へ戻り、すぐに減量に入った。はずむような勢いは東京五輪決勝まで止まらない。

最終更新:9/19(木) 17:07
東スポWeb

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