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日本は主権国家といえるのか? 米軍優位の日米地位協定・日米合同委員会と横田空域(14) 横田空域が戦争訓練エリアに (吉田敏浩)

9/18(水) 11:41配信

アジアプレス・ネットワーク

◆日米地位協定の不平等性

米軍のパラシュート降下訓練では、兵員は横田基地内に降りるのだが、異常が生じて誘導傘〔ゆうどうさん〕などパラシュートの一部を切り離し、それが基地外に落下する事故も起きている。

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2018年4月10日、パラシュートの一部が、横田基地の北西約500メートルの羽村市立羽村第三中学校のテニスコートに落下した。

各種報道によると、当日、高度約3800メートルを飛行中のC130輸送機から、米軍兵士8名が降下し、そのうち1名のパラシュートに異常が生じたため、パラシュートの一部を切り離す措置をとった。

その結果、幅約3メートルのパラシュート状の誘導傘が風に流され、羽村第三中学校に落下した。
兵士は無事に予備パラシュートで基地内に降りた。

「人身事故にまでならなくて幸いでしたが、一歩まちがえば大変なことになっていました。そもそもパラシュートによる人員降下や物資投下は、人口密集地の上空でするような訓練ではありません。C130輸送機やオスプレイなどの旋回飛行訓練も同様です。こうした訓練は、アメリカ本国では人家のない広大な基地・演習場の中でやっています」

市民団体「横田基地の撤去を求める西多摩の会」代表、高橋美枝子さんは憤りをこめてそう語る。

横田基地がある東京都福生市、羽村市、瑞穂町、武蔵村山市、立川市、昭島市の5市1町だけでも、総人口は51万人を超え、総世帯数は約24万に上る。

住宅が建ち並ぶ人口密集地帯だ。
基地の滑走路の中心から半径3キロの圏内には、小学校・中学校・高校が合わせて34校もある。

この事故を受けて地元の羽村市は在日米軍と防衛省に抗議し、事故の原因究明と訓練の中止を求めた。

しかし、米軍は横田基地の全てのパラシュートに異常はないと確認できたとして、事故からわずか2日後に訓練を再開した。
事故の原因究明よりも訓練を優先させる米軍のいつもどおりの対応である。

このような軍事優先の米軍のやり方に対し、日本政府には住民の安全重視の観点から有効な歯止めをかけようとする姿勢は見られない。

2019年1月には、パラシュート誘導傘が風に流されて行方不明となる事故もあった。

「基地のそばを通る国道16号線や五日市街道は交通量が多く、パラシュートの一部が車のフロントガラスにでも落ちて被さったら多重衝突の大惨事を引き起こします」(高橋さん)
                                        米軍はパラシュート降下訓練の危険性をかえりみず、横田基地と横田空域を我が物顔に軍事利用している。
                          
高橋さんは米軍のパラシュート降下訓練をめぐって次のように指摘する。

「米軍はパラシュートの一部が基地外に落下する事故が起きても、訓練を取り止めません。羽村市など横田基地周辺の自治体と東京都が、在日米軍と防衛省に対して抗議し、事故の原因究明と再発防止策が講じられるまで中止するよう求めても、米軍はすぐに訓練を再開します」

「米軍の特権を認め、米軍に対して規制をかけられない日米地位協定の不平等性が根本的な問題としてあるのです。この訓練は特殊作戦部隊の敵地潜入に備えるものです。私たちの地域とその上空が、戦争のための訓練エリアとして利用されるのを認めるわけにはいきません」
(つづく)

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

最終更新:10/10(木) 17:31
アジアプレス・ネットワーク

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