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福井の「先進的な空き家対策」に限界 集落による跡地管理、負担重く

9/18(水) 8:37配信

福井新聞ONLINE

 福井県越前町は本年度、5年ぶりに空き家の実態調査に取り組んでいる。2014年度の調査では町内の空き家は700軒超だったが、人口減少や高齢化が進み、さらに増える可能性がある。町は老朽化が進む空き家を撤去し、空いた土地を集落が管理する「ポケットパーク事業」という先進的な取り組みも行ってきたが、維持管理を担う集落の負担が大きいこともあり、近年は頭打ちになっている。空き家対策が転換期を迎える中、住民による新たな動きも出てきた。

 ■注目集めたが…

 越前町の空き家の特徴は、半数超が海沿いの越前地区に集中している点だ。同地区は海岸に山間部が迫り、急斜面の狭い土地に住宅が密集している。道路幅は非常に狭く、空き家となっている物件の大半は自家用車の駐車スペースもない。不便さから、町定住促進課によると、転居に伴う人口減少が町内4地区で最も多いという。

 ポケットパーク事業は、空き家対策の特別措置法が15年に制定される前の07年から行われている。当初は町が200万円を補助し、集落が空き家の解体や跡地の活用、管理に当たった。集落の負担を軽減しようと、現在は町が所有者から土地と建物の寄付を受け、空き家を撤去した後、跡地を集落が管理する方法を採っている。

 跡地の活用方法は集落で決めており、公園などに使われている。所有者に返却したものを含めると延べ29件の実績を上げ、全国から注目を集めた。ただ、草刈りなど跡地管理は集落にとって負担が大きく、件数は伸び悩んでいる。

 ■先々を見越し

 同町玉川は全戸数の45%に当たる25軒が空き家だ。しかし桝谷桝一区長によると、先々の負担が重くなることを見越し、ポケットパーク事業は利用しなかったという。町の区長会長も務める桝谷さんは「住民の高齢化が進んでいる中、管理していくのは難しい」と実情を語る。

 町の空き家対策はほかにも各種補助事業があり、建物の活用に向けた改修や家財道具の片付けなどの費用を対象としている。ただ、補助を受けるには町空き家情報バンクへの登録が条件となる。空き家の所有者が遠方に住んでいたり、時間がなかったりといった理由で、登録数は伸びていないのが現状だ。

 そんな中、住民の手で空き家問題を解消しようという取り組みが見られる。

 桝谷さんは定期的に集落を見て回り、危険な状態の空き家の所有者に対し直接、対策を依頼している。実際に撤去に結び付いた事例もあった。「役場任せでは職員の負担も大きい。可能な限り地元で何とかしないと」と話す。

 ■若者を中心に

 町内に移住した若者らを中心に、越前地区の空き家を活用して味のある暮らしを提案しようという動きもある。

 同町宿の空き寺だった善性寺の住職となった山田靖也さん(40)=愛知県出身=らが中心となり「古民家マーケット」と銘打ったイベントを10月19、20日に開く。築100年の空き家や古い家財を生かした空間展示を披露。古民家ツアー、修繕ワークショップなども行う。空き家の利活用の方法を具体的に示し、移住につなげたい狙いだ。

 宿は越前地区でも特に空き家が多く、120軒中50軒以上を占める。所有者から活用や譲渡の相談が山田さんにあり、今回のイベントにつながった。山田さんらは「空き家の古さや越前地区の風情を心地よいものと感じてもらいたい。空き家の所有者にも、何か対策をしなければ、と意識してもらうきっかけになれば」と意気込んでいる。

福井新聞社

最終更新:9/18(水) 8:37
福井新聞ONLINE

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