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リーダー不在の香港デモ…若新雄純が考える“妥協点”とは?

9/18(水) 7:11配信

TOKYO FM+

市川美絵がパーソナリティをつとめるラジオ生放送番組「Seasoning~season your life with music~」。9月5日(木)の放送は、木曜レギュラーパートナーの若新雄純(慶應大学特任准教授などをつとめるプロデューサー)が登場。最近起きたニュースを独自の視点で解説する「若新雄純の『色メガネ』」のコーナーでは、「逃亡犯条例」改正案をめぐる香港のデモについて取り上げました。

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◆混迷極める香港、なぜデモが収束しない?

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は9月4日(水)、「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したことを発表しました。中国本土への容疑者の引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」の改正案をきっかけとした抗議デモが6月に始まり、撤回が発表されたいまなお混乱が続いています。

香港は、イギリス領時代を経て1997年に中国に返還されましたが、若新は「中国は共産主義の国で、香港はその中にある民主主義の特別な地域。同じ国とはいえまったく違う考え方で運営されてきた」と、香港が特別行政区であることを説明します。

「逃亡犯条例」改正案の撤回が発表され、抗議活動は収束するかと思いきや、現在も続いたまま。その原因の1つに、5つの要求があったが聞き入られたのは改正案撤回だけだったことがありますが、若新は今回のデモの大きな特徴として「リーダーが不在であること」を指摘します。

香港では、2014年に「雨傘運動」と呼ばれる大規模な民主化要求デモがありました。このデモでは若い女性リーダーが存在しましたが、その女性が逮捕されたことに伴い、活動は鎮静化したという経緯がありました。このように、「どんな活動でもリーダーが捕まったり、トップが抑えられたりすると、士気も下がり活動が弱まるもの」と言います。その一方で、「なぜここまで長引いているかと言えば、今回のデモにはリーダーがいないことも大きいはず。香港に住む友人に聞いたところ、SNSでどんどん(デモの)メンバーが増え、誰が指示するわけでもなくSNSを使ってでもメンバーがお互いに『明日は、ここでああしよう、こうしよう』と、みんなで意見を交換している。だからこそ、広がりが早くアメーバ状の粘り強い活動体になっていて、国側もどこを抑えていいのかわからないのだろう」と混迷を極めている背景について推測します。

そして、「(デモを継続したからといって)5つすべての主張が通るかはわからない。国は5つ全て受け入れるしかデモを収束させる方法はないという有識者の意見もあるが、『逃亡犯条例』改正案の撤回を決断してくれたのはけっこう大きなことだと思うし、僕が注目したいのは、今回のデモが民主主義を守るための運動として十分に価値があったと言えること。民意が政治を動かすことができたという点では0か1かでは大きな違いがある。今回、リーダーがいないという特殊な組織だったおかげで、ここまでがんばれたし、撤回という条件を引き出せた」とも。

今後、ケガ人を出さないためにも「本来なら、この辺で折り合いをつけて話し合うとか、あともう1つだけ条件を飲んでくれたらデモを終える、などの交渉をしてもいい時期だと思う」と若新。ところが、国は“話し合いをしましょう”という意向があるものの、誰と話し合えばいいのかわからない状況だと言います。「リーダーが不在であるがゆえに、長引いていて、誰が『終わりましょう』と号令をかければいいのかわからない状態。今後、終わることのできない活動になってしまうと、暴力化する集団も増えて、ますます危険かもしれない」と先行きを案じます。

さらに、「大事なのは、若者が立ち上がれば政府を動かすことができた、デモをやった意味があったと見せつけたこと。『逃亡犯条例』改正案を撤回させるという大きな結果を引き出したのだから、そろそろ折り合いをつけて、いい意味で妥協点を探ってもいいはず」と主張。「このままイケイケ状態で盛り上がって収集がつかなくなると、死者がどんどん出るなどの事態になりかねない」と危惧していました。

番組収録後、若新はスタッフに「香港の市民にとっては妥協点なんて甘い話なのかもしれないけど、デモの暴力化が続けば世界の目もどんどん冷ややかになる。リーダー不在でSNSを活用した特殊な形態だからこそ活動が広がって一つの結果を勝ち取ることができたわけだが、『冷静になる』というブレーキをどう機能させるかまでは誰も考えていなかったのかもしれない。多くの死者を出すという最悪の事態がブレーキになるのでは、民主化運動として光を感じられない」と口にしていました。

(市川美絵がパーソナリティをつとめるラジオ生放送番組「Seasoning~season your life with music~」9月5日(木)放送より)

最終更新:9/18(水) 7:11
TOKYO FM+

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