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英国内100万人の糖尿病患者が、合意なきEU離脱に怯える理由

9/18(水) 13:38配信

ロイター

英国の欧州連合(EU)離脱期限を控え、国内に100万人いる糖尿病患者らは、EUと合意できなければ医薬品が不足することになるのではないかと危機感を強めている。

<字幕本編>
英ロンドンに住むジョージーナさんの日課は、生死にかかわる問題だ。
彼女は英国の100万人の糖尿病患者の1人で、英国が10月末、合意なしにEUから離脱すれば、医薬品不足に陥る可能性がある。
ジョージーナさんはこう話す。
「私がどれだけ心配かは、言い尽くせない。命にかかわる問題だ」
英国政府が離脱によって想定される最悪の事態を記した文書を公表したことで、彼女の不安はさらに高まった。
この文書によると、仏カレー港からドーバー海峡を渡り英国に入る重要な貿易ルートは数カ月混乱する恐れがあり、製薬業界が特に脆弱であることを示唆。毎月欧州から輸入される薬品3700万箱のうち、4分の3がこの海峡を通過するためだ。
ジョージーナさんは、毎日使用している薬品が減少する可能性を心配している。彼女は血糖値を毎日4回測定し、血糖を降下させるインスリンが食事時にどれだけ必要かを調べ、低用量のインスリンを24時間供給する注入ポンプを使用している。
「ポンプや、付随する部品がなくても生きられるが、血糖測定器がないと生きられない。十分なインスリン供給と同じくらい重要だからだ。この2つが非常に密接に関係していることを、知らない人が多い」
彼女は民間セクターの準備を知れば、少し安心するかもしれない。
世界最大のインスリンメーカー、ノボ・ノルディスクの英国本部長、ピンダー・サホタ氏はこう述べた。
「当社では最悪の場合を想定して、この3年間準備を進めてきた」
「在庫水準を、通常の6週間分から引き上げ18週間分とした」
これは、インスリン380万箱に相当する在庫量。積み上げると、ロンドンの超高層ビル「シャード」の12倍の高さになる。
また、燃料不足時の対応などを検討しながら、必要に応じて代替航路や航空貨物を確保しているという。
「制御できるものは制御できるが、どの程度遅れるかは不明であり、制御できない要因だ。だが、患者が必要な薬を継続的に服用できるよう、できる限りのことをしている」
ただ、合意なき離脱に備えるという複雑な課題だけでなく、産業界と政府の間の緊張は高まっている。
仏サノフィの英国法人のフライ社長は、患者を優先しなければならないとも述べた。
「もちろん、私たちは自分自身に問いかけ始めている。当社のバランスシートや物流を重視し始めており、追加在庫を国内に保管している」
サノフィやノボ・ノルディスクのような企業は準備に膨大な資金をつぎ込んでいるが、革新的な医薬品を市場にもたらすという業務に費やす時間を減らさざるを得ないという、別の不満も生んでいる。

最終更新:9/18(水) 13:38
ロイター

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