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社説[本部港の使用通告]民間の利用に歯止めを

9/18(水) 10:05配信

沖縄タイムス

 米軍はひとまず本部港の使用をあきらめたようだが、通告してきたこと自体、将来の民間利用をにらんだものであり、負担軽減に逆行するものだと言わなければならない。

 在沖米海兵隊が伊江島での訓練に使用する大型の救助用ボートを民間の本部港から出港させようとした問題で、現地では17日、港の使用に反対する市民の抗議が続いた。

 港のゲート前には町民や市民団体のメンバーが集まり「軍事利用は許さない」などと声を上げ、ボートをけん引する車両の通行を阻んだ。約10時間に及ぶにらみ合いの末、米軍車両は撤退した。

 ただし再三にわたる県や本部町の使用自粛要請を受け入れたわけではないという。

 3年前にも米陸軍の揚陸艇が伊江港に入港し問題となったことがあり、そのためフェリーに遅延が生じた。

 過去には米軍ヘリが給油などを目的に下地島空港をたびたび使用し、民間航空会社の訓練が影響を受けたこともある。

 反対の声が強いにもかかわらず米軍が本部港使用を強行しようとしたのは、既成事実をつくることで民間利用に伴う制約を取り払い、訓練の効率化を目指しているからだろう。

 本部港使用通告の背景には、本島中北部の基地の拠点集約化もある。キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、辺野古新基地、伊江島補助飛行場などの「一体的運用」が将来進んでいくのは確実とみられる。

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 地位協定は、第5条で米軍による民間の港湾・空港への出入りを認めている。

 米軍は「伊江島でのパラシュート降下訓練でボートを使用するため」と説明するが、本部港は港湾法によって県が管理権を持つ施設である。自治体の権限は重い。

 地位協定によって国内法に基づく港湾管理者の権限が簡単に制約を受け、その意向が無視されるのなら、もはや日本はまともな主権国家とはいえない。

 米軍基地がある15都道府県でつくる渉外知事会は民間の港湾・空港を使用する場合は「国内法を適用すること」と「緊急時以外の使用禁止」を国に求めている。

 政府は米軍が日本で活動する際、「一般国際法上、国内法令は適用されない」との立場をとってきたが、この説明は米軍の権限拡大のための一方的な解釈だと国会でも指摘された。

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 昨年8月、読谷村沖合の日常的に漁船が行き来する水域で、米軍ヘリが兵士のつり下げ訓練を実施するなど、提供施設・区域外の訓練も問題になった。 

 在日米軍専用施設のおよそ70%が集中し、周辺に広大な訓練水域や空域が設定されている県内で、訓練区域外までなし崩しに訓練が広がればどうなるのか。沖縄全体が「基地化」することになる。

 米軍の一方的な使用に歯止めをかけるため、県には国内法に基づく港湾管理者の権限を適切に行使してもらいたい。民間の港湾・空港の利用は増加傾向にあり全国的な取り組みも必要だ。

最終更新:9/18(水) 10:05
沖縄タイムス

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