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興収15億円も視野 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」スマッシュヒットの背景

9/19(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 大好きな日本映画にオマージュをささげた「キル・ビル」2部作など、ハリウッドきってのオタク監督で知られるクエンティン・タランティーノ。その最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が日本でも公開中。レオナルド・ディカプリオ&ブラッド・ピットという、これまた日本でもかつて一世を風靡した2大スターが初共演して話題になっており、「客足は上々。10億円突破は確実で15億円も視野に入っています」(映画関係者)。映画批評家の前田有一氏がスマッシュヒットの背景をこう分析する。

「1969年8月、妊娠8カ月だった新進女優シャロン・テートがハリウッドの自宅でカルト集団に惨殺された史実を下敷きにした物語ですが、ブルース・リーなど実在の人物のぞんざいな扱い方や、時折入り込むリアリティー皆無な演出などが自己満足的だと、米国では批判の声も少なくありません。カンヌ映画祭の記者会見でも、女性記者からの厳しい質問に露骨に嫌な顔をするなどピリピリムード。それだけに、先日ディカプリオと来日した際、ファンから大歓迎を受けた日本では、もともと親日家ということもあってホッとしたことでしょう。妻の第1子妊娠を報告するなど上機嫌でした」

 落ち目のテレビ俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)は、業界内で徐々に忘れられていく現状に怯え、専属スタントマンのクリフ(ブラッド・ピット)と酒を飲み愚痴をぶちまける日々を過ごしている。やがて隣に越してきた人気監督ロマン・ポランスキーとその妻シャロン(マーゴット・ロビー)とのあまりの格差に焦りを感じた彼は、これまでバカにしてきたマカロニウエスタンの仕事をついに受けることにするが……。

「確かに万人向けのわかりやすい映画では全くないのですが、おおむね45歳以上のアメリカ文化好きには、背筋が震えるほどの感動を与えるポテンシャルを持った作品です。タランティーノ監督は惨殺事件の報道を6歳で体験した世代。その後、彼がメシより愛することになる古き良き米映画とハリウッドの鷹揚な魅力がこの事件で永遠に変わり、失われてしまった。本作にはそんな、今はもう存在しない、彼が愛したアメリカとその未来を必死にフィルムに再現しようとした切なさを感じます。落ちぶれたレオが、西部劇の撮影で最後の意地を見せるシーンや、監督持ち前の暴力描写でこの上ない幸福感を作り上げた衝撃のクライマックスなど、心に残る見せ場がいくつもあります」

 往年のハリウッド映画でアメリカ文化にあこがれた中高年世代の琴線に触れる映画ということか。「これまででもっともパーソナルな作品」と語るタランティーノ監督の思いは、もくろみ通り日本の観客に届いているようだ。

最終更新:9/19(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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