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恋愛群像劇の名手・今泉力哉監督、伊坂幸太郎原作の実写化は「怖い」

9/19(木) 12:00配信

オリコン

■「Film makers(映画と人 これまで、そして、これから)」第19回 今泉力哉監督

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 人気作家・伊坂幸太郎の恋愛小説集を映画化した『アイネクライネナハトムジーク』。伊坂自身が「映画化するならぜひ」と指名を受けたのが、恋愛群像劇の名手として映画ファンから注目を集めている今泉力哉監督だ。オリジナルから原作ものまで「心になにかを残してくれる」登場人物を作り上げるキャラクターづくりのルーツはどこにあるのだろうか――。

■伊坂幸太郎原作を実写化する怖さ

 伊坂幸太郎という日本を代表する作家の原作を映画化することに、「伊坂さんの小説は読んでいましたし、映画化された作品も観ていたので、ありがたいと思う一方で、怖いなというのが正直な思いでした」と映画化のオファーを受けたときの率直な感想を述べる。

 「怖さ」の理由を、今泉監督は「伊坂さんの作品の登場人物には、キザなセリフをサラッと言うような場面があります。でも生身の人間にそういうセリフを言わせたとき、どうなんだろうと思ったんです。さらにミステリー的な要素として、隠された情報を知るタイミングをどうするか。特に伊坂さんの小説は、顔が見えないという部分で引っ張ることも多いので、そのタイミングは群像劇としては非常に重要なんです」と語る。

 そんななか、今泉監督は、過去に実写化された伊坂作品を観て「うまくいっているものは、キザっぽいセリフを、誰かに集約して言わせているなと気づきました」とポイントを挙げる。続けて「例えば『アヒルと鴨のコインロッカー』で言えば(河崎を演じた)瑛太さんがそういう部分を担っていました。この映画に関して言えば(矢本悠馬演じる)織田一真がそれだなと思ったので、意識して伊坂さんらしい言い回しは彼に集約させました」と説明する。

■群像劇の名手と言われる今泉監督の原体験は『ホーム・アローン』

 この言葉通り、一真のキャラクター性の面白さはもちろんだが、三浦春馬演じる佐藤、多部未華子扮する紗季をはじめ、本作に登場する人物たちはみな、いわゆる映画的な見せ場が存分にあり、今泉監督の過去の作品に通じるキャラクターへの愛を感じる。主人公を際立たせるためや、物語を進行させるための説明的な人物がいない。

 「この映画は原作がありましたが、オリジナル作品でも、僕自身が主人公のために、登場人物を構成していくことを面白いと思っていないんです。やっぱりどんな人にも人生があるので、登場させるならば、しっかりとその部分を描きたい。もともと僕は小さいときから、メインの話があるなか、脇の人のちょっとしたサブエピソードに心動かされて泣いてしまうことが多かった。だから群像劇を好んで描いているのかもしれません」。

 こうした今泉監督の特性を表すエピソードが、子供のころに観た『ホーム・アローン』シリーズだという。この作品は、クリスマス休暇に、家族に置き去りにされた少年と、家に押し入ってきた2人組の泥棒とのドタバタコメディーが繰り広げられるが、今泉監督は映画を観て、脇のキャラクターたちに感情移入してしまったというのだ。

 「パート1では、主人公ケビンの近所に住む、殺人鬼と呼ばれたちょっと変わったマーリー老人、パート2では、鳩おばさんのエピソードにめちゃめちゃ感情移入してしまって……。特にパート2では、映画館で号泣してしまい、劇場を出たあと、次回を待っているお客さんが、僕があまりにも泣いているのを見て驚かれていたことを覚えています。『ホーム・アローン』がサブエピソード好きの原体験になっていると思います」。

 さらに今泉監督作品に共通しているのが「少しダメな、弱点がある人間」を愛情いっぱいに描くこと。「欠点や弱さがある人しか主人公にはなれないと思っているんです。だからこそ、なにかを求めて行動する。『アイネクライネナハトムジーク』の佐藤もそうですし、『愛がなんだ』の登場人物もそう。極端な話ですが、リア充というか、いま自分の人生に満足している人にとっては、僕の映画は面白くないかもしれません(笑)。そもそも、映画を観たり、小説を読んだりすることって、漠然と埋まらないものを埋めようとするものなのかなと思うんです」。

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最終更新:9/19(木) 13:25
オリコン

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