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日本は主権国家といえるのか? 米軍優位の日米地位協定・日米合同委員会と横田空域(15) 民家に銃口を向け飛行訓練するオスプレイ (吉田敏浩)

9/19(木) 11:41配信

アジアプレス・ネットワーク

◆「日本を従属国扱いしているとしか思えない」

このように米軍の自由勝手な基地使用と軍事活動に歯止めがかけられない状態が続いている。

【関連写真を見る】日本は主権国家といえるのか?(8枚)

2018年4月に米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイ5機が、横田基地に初飛来し、同年10月に正式配備されてから、基地周辺だけではなく、関東から中部・東北地方にかけて、低空飛行訓練を繰り返している。

横田基地の状況に詳しい市民団体「横田基地の撤去を求める西多摩の会」代表、高橋美枝子さんによると、CV22オスプレイの訓練飛行は夕方から夜間にかけてが多いという。

滑走路に接地してはすぐに上昇するタッチ・アンド・ゴーの訓練や、基地内で空中にとどまるホバリングをしながら、ロープで兵員を吊るすホイスト(吊り下げ・吊り上げ)訓練もしている。

「夜間に無灯火で飛んだり、ホバリングやホイストの訓練をしているのは、特殊作戦に備えたものです。CV22オスプレイは特殊作戦部隊を乗せる輸送機です。夜間、敵地に低空で潜入し、部隊員をロープで吊り下ろしたり、脱出時に吊り上げたりするのを想定しています」(高橋さん)

さらにCV22オスプレイは横田基地周辺の住宅地上空で、後部デッキから機関銃の銃口を突き出し、斜め下に向け、時に左右に動かしながら、低空飛行訓練を繰り返している。

高橋さんも所属する市民団体「羽村平和委員会」のメンバーが、基地監視活動中に撮影した写真で確認されている。

住宅地に武装勢力などの兵員が潜んでいるという想定のもと、機関銃でいつでも攻撃できるように監視・警戒しながら飛行する訓練と思われる。
実際に撃ちはしないが、銃口を向けられる住民にとってはただならぬ光景である。 

「住宅地を戦場に見立て、住民を標的にするような訓練です。自分たちが狙われているようで、恐怖を感じます。アメリカ本国ではやらないような訓練で、絶対にあってはならないことです。日本を従属国扱いしているとしか思えません」と、高橋さんはきびしく批判する。

羽村平和委員会の記録によると、2018年6月29日~19年7月11日の1年余りの間に、計34日間・延べ41機がこのような飛行訓練をしていたのが確認された。

1機だけでなく、2機が同時に機関銃の銃口を突き出して飛んでいる日もあった。
それ以降も同様の訓練が目撃されている。

沖縄でも、米軍ヘリが同じように機関銃を民家に向けながら低空飛行訓練しているのを、住民が度々目撃している。

日本の市民をいわば「仮想敵」「仮想標的」に見立て、アメリカではできないような住宅地上空での実戦的な訓練をおこなっているのである。

2019年2月、横田基地所属のCV22オスプレイ4機は、タイでおこなわれた米軍中心の多国間軍事演習「コブラゴールド」に参加した。

この事実が示すように、米軍が横田基地にオスプレイを配備しているのは、アジア・太平洋地域からインド洋、中東、アフリカまでをにらんだ戦力の前方展開であり、決して日本防衛に専念するためではない。

実際、米軍は南アジアや中東、アフリカに特殊作戦部隊を送り込み、現地の武装組織に対する破壊工作や要人暗殺などの秘密作戦をおこなっている。

在日米軍基地はこうしたアメリカの世界戦略に組み込まれ、特殊作戦の訓練・出撃拠点としても強化されようとしている。(つづく)

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

最終更新:10/10(木) 17:31
アジアプレス・ネットワーク

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