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火事場のばか力引き出すのは「骨」 アドレナリンは医学会の俗説? 研究

9/19(木) 13:32配信

The Telegraph

【記者:Henry Bodkin】
 危険に直面した際の「アドレナリンの放出」は医学界の俗説にすぎない、とする新たな研究が発表された。

 一連の研究によると、緊張した際の「闘争・逃走」反応に関わる心拍数の上昇や呼吸数の増加、一時的な身体能力の向上は、実は骨でつくられるあまり知られていないホルモンによって引き起こされるという。

 人と動物を対象に行われた実験では、危険な状況から私たちを救う急激なストレス反応を引き起こすのはアドレナリンではなく、オステオカルシンというホルモンであることが特定された。

 米学術誌「セル・メタボリズム」に掲載された今回の研究結果は、腎臓の真上の副腎でつくられるアドレナリンがその役割を果たしているとする、数十年来の通説を覆すものだ。

 論文ではまた、骨格は私たちの身を守るために、進化の過程ではるかに大きな役割を果たしていたことも示唆された。

 米コロンビア大学のジェラール・カーセンティ教授は「骨がストレス反応に作用するという考えは、副腎はそうした反応に作用しないという考えと同様、実に斬新だ」「このことは、骨は差し迫った危険に対処するための道具の一つとしてつくられたとする考えを立証している」と述べた。

 同教授はさらにこうも指摘している。「頭蓋骨が脳を外傷から守り、脊椎動物の骨格が外敵から逃れるのを助け、耳内部の骨が迫りくる危険を警告してくれるというように、骨は生命体を危険から守るために発達してきたと考えるならば、オステオカルシンというホルモンの機能は理にかなっている」

 コロンビア大学の研究チームが調査した論文では、演説など緊張する状況に置かれた人々は、オステオカルシンの値が急激に上昇することが明らかにされている。

 一方、マウスを使った別の研究では、オステオカルシン値の上昇とともに、通常はアドレナリンとの関連性が指摘される心拍数や体温、血糖値の上昇が見られたことが判明した。

 さらに研究を進めると、アドレナリンを生成できないマウスでも、危険を示すキツネの尿のにおいを嗅ぐと闘争・逃走反応を示すことが分かった。

 こうした一連の研究は、より健康で骨格を活発に動かす若者たちの方がより急激なストレス反応を示す理由を説明している。

 カーセンティ教授は「脊椎動物の場合、急激なストレス反応はオステオカルシンなしでは起こり得ない」とし、「このことは、急激なストレス反応が起こる仕組みについての考え方を一変させてしまう」と述べた。

 ストレスによるオステオカルシン値の上昇は、恐怖心などの感情をつかさどることで知られるへんとう体という脳の部位に依拠しているとみられており、このことは過去の研究結果とも一致している。

 しかし、この作用に副腎は必要ではなく、「なくても済む」可能性があると研究チームは説明している。

 今後は、脳から骨への伝達経路を特定するため、霊長類を使って研究を進める予定だという。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:9/19(木) 13:36
The Telegraph

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