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軍事合意書の履行も足踏み…再び頭をもたげる「安保ジレンマ」

9/19(木) 12:55配信

ハンギョレ新聞

9・19平壌首脳会談から1年…朝米関係の流弾に当った南北関係  JSA兵力・火器の撤収など初期成果にもかかわらず 第2回朝米首脳会談の決裂後、履行にブレーキ 南北軍事共同委の構成すらできず 北朝鮮、新型飛翔体など威力誇示を繰り返す 「完全な合意の履行までは長期戦が必要」

 「南と北は朝鮮半島で軍事的緊張状態を緩和し、信頼を構築することが、恒久的で強固な平和の保障に欠かせないという共通の認識に基づき…」

 「歴史的な板門店宣言の履行のための軍事分野合意書」はこのように始まる。「9・19軍事合意書」と呼ばれるこの合意文書には、南北の偶発的衝突を防止し、非武装地帯(DMZ)や西海北方限界線(NLL)一帯を平和の空間にするための具体的な処置が日程と共に明示されている。チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長は当時、これを「事実上の不可侵合意」だと評価した。

 9・19軍事合意は、軍事的信頼を通じた平和構築という新しい道を具体化したという点で、以前のいかなる合意とも異なる。南北の軍事的対決がさらに大きな軍事的対決につながる、いわゆる「朝鮮半島安保ジレンマ」から抜け出すための試みだった。実際、合意書の採択後、南北境界地域では一度も軍事的衝突が起きていない。1953年7月27日の停戦協定締結以降、接境地域がこれほど長く平穏だったことはない。

 軍事合意書に明示された措置は、しばらく順調に履行された。地上と海上には砲兵射撃訓練および機動訓練禁止区域が設けられ、空中には飛行禁止区域が設定された。板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)では兵力と火気が撤収され、非武装地帯の監視警戒所(GP)20カ所が試験的に撤去された。漢江(臨津江)河口の共同利用のための水路調査が行われ、ファサルモリ高地で遺骨を共同発掘するための戦術道路もつながった。

 しかし、今年2月にハノイでの朝米首脳会談が物別れに終わってから、履行にブレーキがかかった。4月から南北がともに遺体を発掘することにしたファサルモリ高地では、南側だけが作業を行っている。非武装地帯のすべての監視警戒所の撤収のための議論も中断された。板門店共同警備区域の自由往来のための合意も実現していない。南北の軍事的問題を協議する軍事共同委員会は構成すらできていない。軍事的信頼構築から実質的な軍備統制へと移行する橋がかけられていないわけだ。

 軍事合意の履行が止まったことで、朝鮮半島安保のジレンマが再び頭をもたげている。北朝鮮は韓米合同演習と韓国の先端兵器の導入を非難する一方、短距離ミサイル発射実験と武力誇示を行った。5月4日以降10回にわたり、新型戦術誘導兵器や新型大口径操縦放射砲、新しい兵器、超大型放射砲と命名した短距離飛翔体を発射した。これに対し、文在寅(ムン・ジェイン)政府は、北朝鮮の行動が「9・19軍事合意の趣旨に反する」として、遺憾の意を表明した。9・19軍事合意が朝鮮半島の平和のための設計図だったことを逆説的に示す。

 9・19軍事合意履行は、初期の速度戦から今は持久戦に移った。チョン・ギョンドゥ国防部長官は16日、国会で開かれた「9・19南北軍事合意書1周年セミナー」の祝辞で「南北軍事共同委員会の構成が足踏み状態にあり、軍事合意が完全に履行するまでには多くの時間と努力が必要であろう」と述べた。国防部関係者は「9・19軍事合意は現在一種の凍結状態に入っている」としたうえで、「年内開催が予想される第3回朝米首脳会談で成果が出て、南北関係が進展されれば、再び弾みがつくかもしれない」と述べた。

ユ・ガンムン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr) 

最終更新:9/19(木) 12:55
ハンギョレ新聞

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