ここから本文です

西成で、おっちゃんたちが詠む歌は  警察署があいりん地区の詩集発行 怖いイメージ、実は人情味

9/20(金) 18:02配信

47NEWS

 安い簡易宿泊所(ドヤ)が並び、路上にはホームレスの人たちが寝床にする段ボールが敷かれている。日本最大級の日雇い労働者の街として知られる大阪市西成区のあいりん地区。酒に酔ったのか、ひげが伸び切った男性同士が平日の昼間から取っ組み合いのけんかを繰り広げる。違法薬物が公然と売買されてきた歴史もあり、いつしか近寄りがたい場所と認識されるようになった。

 所轄の大阪府警西成署もかつては暴動で襲われたことがあったが、実は地道に続けているユニークな取り組みがある。労働者の短歌や俳句をまとめた詩集の発行や、衣類の無償提供だ。署の担当者は「世間から懸け離れた場所と思われがちだが、実際は違う。人情味にあふれる面が多い」と話す。

 ▽無料の「バーゲン」

 

「おっちゃん、そのシャツ似合うで。持って行き」「勝手に売ったらあかんよ。大事に使いや」

 7月上旬、地元の公園に労働者ら約300人が集まった。お目当ては、西成署と地域住民でつくる「あいりんクリーン推進協議会」による衣類などの無償提供。夏本番を控え、全国から送られた肌着や日用品を労働者らが次々と受け取っていく。

 あいりん地区はJR新今宮駅南側の一帯約0・6平方キロメートルを指し、旧地名の「釜ケ崎」とも呼ばれる。近年は安価な宿を求めてやってくる訪日外国人の姿も見られる。路上生活者が多いため、署は衣類の寄付を随時受け付けている。毎年数千点が届いている。

 署で直接もらうこともでき、その場合は身分証の提示が必要で月に1回という制限が付く。毎年夏と冬の2回だけは無条件で持ち帰り自由のため、この日を楽しみにしていたという初老の男性は「バーゲンセールみたいなもんだ。ただでもらえるなんてぜいたく。ほんとありがたいよ」と感謝を口にした。

 ▽「心打たれる」と署員

 1960年代以降、警察官に不満を募らせた労働者が署を襲うなど、たびたび発生した「西成暴動」。署が労働者をいたわって関係を築こうと75年から始めたのが、年1回の「あいりん労働者の詩集」発行だ。時節に合わせ詠んだ俳句や短歌、川柳などを署に持ち込んでもらう。

1/3ページ

最終更新:9/24(火) 9:13
47NEWS

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事