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アニメーションを海外で売り込むときに必須のスキルとは?

9/20(金) 18:30配信

アニメ!アニメ!

近年、「クールジャパン」の名の下に、アニメーション・マンガ・ゲームを代表とする国産ポップカルチャーコンテンツの海外進出に力を入れている日本。
なかでも東京都は、都内アニメーション関連事業者の海外進出を支援するため、2017年度より「海外進出ステップアッププログラム」を実施している。

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本プログラムは、有名講師によるセミナーや実践的なワークショップを通じて、海外進出へのノウハウやスキルを学んでもらうことを目的としている。
さらに習得したスキルを競う「東京アニメピッチグランプリ」(2020年2月13日・14日開催予定)に出場して、最優秀賞・優秀賞を受賞すると、東京都から海外展開に向けたサポートを受けることができる。

全5 回のうち第2 回海外ビジネスセミナー「海外アニメーション市場で求められるもの」が8月23日に開催された。
今回の講師は、海外コンテンツ市場や日本のアニメーションの展開方法に精通するツクリエ プロデューサー・株式会社Culture Connect 代表の風早完次氏と、プロデューサーとして『スティッチ!』ほか数々の作品に参加し、現在はシンガポールを拠点にアジア太平洋地域のスタジオと作品の企画開発・制作に従事するライター・プロデューサーの鮎貝義家氏。
海外アニメーション市場で欠かせない「商談ピッチ」「バイブル」とは一体どのようなものなのか? それが語られた本セミナーのレポートをお届けする。

■ピッチ前の「準備」で成否が決まる
風早完次氏

前半は風早氏から、海外アニメーション市場に参加するにあたって大切なことが語られた。

海外アニメーション市場に展開するにあたり、多様なマーケットの中から、目的に沿った市場を選択して、出展することが肝要という。
マーケットごとに特色は異なり、たとえばKidscreen SummitやMIFA(アヌシー国際アニメーション映画祭併設の国際見本市)は、企画の初期段階での交渉が可能である。一方で、完成作品の売買を中心に商談をしていく市場もあり、Hong Kong Filmart、MIPTV、MIPCOM、Asia TV Forum & Marketがそれにあたる。

次に、日本と海外での商談ピッチのスタンスの違いについて、説明した。日本における商談は、既知の相手とある程度想定された枠で話をすることが商習慣となりがちで、実は要点を省略しながら話していることが多い。
海外バイヤーを相手にする際は、事前情報が全く無いところからの商談になることが多く、「自分が何者なのか」「何分何話の構成なのか」といった基本事項を口頭でもきちんと説明することが重要だと語った。


以降は、海外市場への売り込みのために大事な「バイブル」について解説していった。
「バイブル」とは、作品に関する基本情報を詰め込んだ資料のこと。相手のキーパーソンに自身の作品を、自身がいない場でも売り込むための大きな武器となる。
バイブルでは、キービジュアルやキャッチコピー、作品概要、シノプシス(あらすじ)、キャラやスタッフ情報、自身の連絡先など必要な情報を正しい英語で記述し、作品世界を伝えるアートワークとともに配置していくことが大事だとした。

■海外マーケットでピッチするうえで大切なことは?
鮎貝義家氏
後半の講師・鮎貝氏からは、ピッチにおいて大切なことが語られた。

海外におけるピッチは、売り込むというよりも「提案」といったニュアンスが大きいという。
要点を伝え、相手の共感を得て、興味を持ってもらうことが大事だとした。
とくに海外においては、ピッチはコンテやシナリオと同等に大事で、最高のコンテやシナリオがあってもピッチができなければ意味がないという。

さらにピッチで重要なキーワードが3つあるとして、「Unexpected(意外性)」、「Emotional
(感情性)」、「Simple(簡潔性)」を挙げた。
ピッチにおいて、最も大事なのは”個性”で、作品はもちろん、それ以上に自分に興味を持ってもらうことが重要だという。ただし、過度な自己アピールにはしるのではなく、自分がユニークで面白い作品を持ち、作品にパッション、ビジョンを持っていることを伝えることが大切だと強調した。


その後は海外のバイブルの作り方について語った。最も大事なのは「個性」として、話す順番はポイントさえ押さえていれば話しやすいところから話していいという。
バイブルの冒頭のタイトルページについては、インパクトが重要で、できればキービジュアルがあるといい。絵にこだわる必要はなく、雰囲気を伝えるようなイメージでも問題ないそうが、自分が納得できないものは表紙にもってくるべきではないとした。

ストーリーの内容を1行で完結に説明した「ログライン」について、入れない人も多いが、必要な要素だという。ピッチを受ける側は多くのピッチを聞いた後、それぞれの作品概要を自社内で整理することになるが、ログラインがなければ担当者の解釈で、適当に整理されてしまうためである。
加えて、バイブルにおける最も重要なポイントとして「シノプシス(あらすじ)」を挙げた。
シノプシスを読み上げるだけでピッチになるようなものがベストだという。問題提起する場合は、投げかけっぱなしにするのではなく、シリーズを通しての方向性を簡潔に示すことが大事だとした。

さらに、海外大手に向けてピッチする際のポイントについて、スタッフリストを挙げた。これまでは海外大手が、アイデアのみで個人と契約することもあったが、最近は制作能力も重要視する傾向があるとのことだ。
そして、ピッチする際、相手先の過去作品に類似作品があると調査不足だと思われてしまうので、下調べは必須。もし類似作品がある場合は、その作品との相違点や、なぜ自分の作品が魅力的なのかをアピールできることが大切だと語った。

■今後のセミナー予定
実践的な事例から海外進出のノウハウを学べる「海外進出ステップアッププログラム」。残りのセミナーは、9 月27 日「海外展開に必要なツールを準備しよう(バイブル作成演習)」
ほか、10月1日と10月25日に開催。「海外プレゼンスキル向上ワークショップ」は11月8日と11月16日に開催される。

「東京アニメピッチグランプリ」は今回から映像のない企画段階の作品についても応募可能となり、申し込みやすくなっている。応募には、「セミナーとワークショップへの各1回以上の参加」が必須となっているので、興味を持たれた方は公式サイトより申し込んでみてほしい。

[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]

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最終更新:9/20(金) 18:30
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