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10月から幼保無償化 副食費徴収、新たな負担に

9/20(金) 11:53配信

熊本日日新聞

 幼児教育・保育の無償化が10月スタートする。無償化の対象は保育料のみで、これまで自治体がまとめて徴収していた副食費(おかず・おやつ代)は原則、保育所が保護者から徴収することになる。新たな業務が加わることや、公立と私立の格差が出ることに対し、県内の保育現場では戸惑いが広がっている。

 「現金を預かると、紛失や盗難が心配。これまで通りにしてほしいが…」。社会福祉法人・生光福祉会が運営する私立「すぎのこ保育園」(熊本市西区)の木村朝男園長(71)は、悩ましげだ。

 同園は、1人当たり月4500円を徴収予定。口座振替にすると手数料がかかるため、保護者に現金を持参してもらう。対象者は30人ほど。毎月14万円近くの管理だけでなく、未納世帯への対応もしなければならない。

 同園は、主食費(ご飯代)を徴収せずに弁当を持参してもらっており、定期的な徴収業務に慣れていない。木村園長は「事務量が増えるだけでなく、保護者との信頼関係が損なわれる恐れはないか」と懸念。老朽化した園舎の建て替えも控えており、「これ以上の職員の負担を増やすのは避けたい」。

 一方、熊本市の保育現場が困惑するのが、市立と私立の格差だ。これまで同市内の市立19園、私立93園の副食費は、市が保育料とともにまとめて徴収していた。だが、10月以降は、市立については副食費の徴収を継続する一方、私立は徴収を各施設に任せる方針だ。

 市保育幼稚園課は「市立は徴収業務の経験が少なく、現場の負担が大きい。そもそも市立なので、市が徴収を続けることに問題はない」と説明するが、私立関係者からは「徴収業務の経験が少ないのは同じで、不公平だ」との声も。木村園長も「市立も私立も、利用する保護者は同じ市民だ」と訴える。

 こうした中、県内では宇城市や五木村など副食費の無償化に踏み切る自治体も出始めた。子育て世代の負担軽減が目的だが、無償化にすれば現場の新たな負担もない。

 宇城市保育園課は「年間4500万円程度の予算がかかるが、子育て世代にアピールできるメリットは大きい。現場の負担減は無償化の副産物だが、大変喜ばれている」としている。

 熊本市保育園連盟の江藤美信理事長(60)は「給食も保育の一環。国は現場の混乱を招くようなことをせず、副食費を含めた保育料の完全無償化をお願いしたい」と求める。(臼杵大介)

(2019年9月20日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

最終更新:9/20(金) 12:48
熊本日日新聞

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