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箱根登山鉄道の軌跡(14) 社員の発案で植栽

9/20(金) 19:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

夜のあじさい号運行(1994年)
 「光に揺れる箱根の風情」。1994(平成6)年6月25日の本紙1面を箱根登山鉄道(小田原市)の「夜のあじさい号」が飾った。箱根湯本~強羅間6カ所のライトアップポイントで沿線のアジサイをじっくり観賞できる座席指定の特別列車が前夜、デビューした。

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■乗客の会話聞き
 箱根の初夏を彩る沿線のアジサイ群は、社員らの自発的な活動から生まれた。きっかけをつくったのが当時、若手運転士だった高橋安衛さん(68)=秦野市=だ。

 登山電車の運転席と乗客席の仕切りがなかった73年ごろ、高橋さんの耳に女性グループの会話が入ってきた。「アジサイきれいね」「もっとあるといいのに」…。

 のり面のアジサイは地中に根を張るため土留め用に植えられていたが、約2千株が点在していた。乗務員仲間に相談したところ、比較的簡単に挿し木で増やせることが分かった。

 最初は20代の5人で始めた。なじみの鮮魚店からもらった発泡スチロールに腐葉土を入れ、乗務員の詰め所の周りで挿し木を育てた。明け番や休日を利用して、のり面に植栽した後もつるや雑草を刈ったり、枯れた枝を取り除いたりした。そのうちに会社側も理解を示し、76年からは沿線美化委員会を組織して全社的に取り組んだ。株は年々増え続け、今ではざっと1万株のアジサイが鮮やかに色づき、乗客の目を楽しませる。

■「想定外」の人気
 「最初は観光目的でなく、少しでも乗客に喜んでもらえればという気持ちだった。まさかここまで人気になるとは…」と高橋さん。今でも愛着は強く、餌を求めて根元を掘り起こすイノシシの被害が最近目立つのが心配だという。

 今年も夜のあじさい号は6月15日の運転開始前に大半が売り切れた。同社の貴重な収入源にもなっている。

神奈川新聞社

最終更新:9/20(金) 19:00
カナロコ by 神奈川新聞

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