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なぜ阪神の近本は“ミスター長嶋”超えを果たせたのか?

9/20(金) 6:49配信

THE PAGE

阪神の近本光司外野手(24)が19日、甲子園で行われたヤクルト戦でシーズン154本目のヒットを記録、長嶋茂雄氏が1958年に作った153安打のセ・リーグ新人最多安打記録を61年ぶりに更新した。交流戦で失速。一時、打率1割台に低迷したが、球宴で史上2人目となるサイクル安打をマークすると再上昇した。セ・リーグの新人王争いは、35本塁打、95打点をマークしているヤクルトの村上宗隆内野手(19)との一騎打ちの様相となった。近本はなぜ成功したのか。阪神の掛布雅之SEAの分析をもとにその理由に迫ってみた。

球宴サイクル安打が転機

 “ミスター”と呼ばれた偉大なるレジェンドの記録を61年ぶりに更新する記念すべき一打は第一打席に出た。矢野監督は、今季初めて近本を「3番・レフト」で起用したが、二死からヤクルトの先発“ライアン”小川の真ん中低めに落ちてくるカーブをしっかりとタメて引っ張った。打球は一、二塁間を真っ二つ。バックスクリーンに、それが長嶋氏の持つセの新人最多安打記録を更新するものであることが映し出され、一塁ベース上で、記念プレートを渡されると、ほとんど表情を変えることのないニヒルな男が珍しく笑顔を浮かべた。

「記念パネルを頂いた時のファンのみなさんの声援で実感が湧きました。塁に多く出ることが自分の仕事なので、1本でも多く打ってチームに貢献できるように頑張ります」
 広報談話は、近本らしい誠実なものだった。

 昨秋のドラフトで阪神は大阪桐蔭の藤原を1位指名、クジでロッテに奪われると、外れ1位で立命大の辰巳を入札したが、これも楽天にクジで敗れた。そして外れ外れ1位が近本だった。「2位でも獲得できたのではないか」という阪神のドラフト戦略に対する批判の声が出たが、佐野スカウト顧問は、キャンプで、「センターラインを固めるという戦略はブレなかった。見ときなさいよ。絶対にプロのレベルに対応できるから。足は、赤星並み。2003年、2005年に優勝したチームでは、1、2番を打った赤星の機動力が生きたやないの? 矢野監督がファームで機動力を使った野球で日本一になり、それを上の野球にも生かすつもりだから、近本は、矢野野球にピッタリの選手」と成功を予言していた。

 オープン戦で結果を残し開幕スタメンに抜擢された。だが、交流戦があった6月にプロの壁にぶつかった。この月の打率は.179と急降下。近本は典型的な早仕掛けの打者だが、インサイドを攻められ、配球を変えられ、カウントが悪くなってから難しいボールに手を出すという負のスパイラルから抜け出すことができなかった。だが、7月には、打率.295とV字回復した。
 掛布氏は、「甲子園で行われたオールスターのサイクル安打が転機になったのではないでしょうか」と見ている。
 
「1打席目に本塁打を打ったとき、“おや、ちょっとポイントが前だな”と思ったんです。バッターとは繊細な生き物ですから、こういう1本でタイミングというものを体が思い出して、すべてが変わるということがあるんですよ。この試合、サイクル安打で、5の5でしょう。そこから後半は明らかにバッティングが変わりましたからね」
 近本は、7月13日に甲子園で行われたオールスターで「1番・センター」でスタメン出場すると、その第一打席にオリックス山岡のストレートを左中間へと運び、新人としては史上初となる先頭打者アーチを記録した。そこから、二塁打、ヒット、二塁打、三塁打と5打数5安打の大暴れでMVPを獲得。このサイクル安打で近本は覚醒した。

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最終更新:9/20(金) 12:28
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